翌月曜日の夕方。生まれて初めて、クリーニング屋で自分の荷物を受けとることになります。
由希子さんから差し出された僕の洗濯カゴには、一枚一枚丁寧にビニール包装された仕事着や下着が重ねられていました。
どれもアイロンが掛けられ、シワなどありません。それを見て、クリーニング屋の凄さを思い知らされました。
『仕事帰り?』と聞かれ、『はい。』と答えますが、由希子さんの口調が気になりました。かなりフレンドリーなのです。
僕も、もう馴染みということでしょうか。そして、カウンター越しに由希子さんとの会話が始まります。
たいしたことのない会話です。それでも、長く女性と話し込んでいる自分の顔が、少し赤くなっているのが分かります。馴れてないのです。
15分後、ようやく解放をされて自宅へと戻りました。なぜか気分がよかったのが分かります。
水曜日の夕方。僕は洗濯カゴを持って、浜野クリーニングにいました。一週間も貯めておくのが彼女に失礼な気もあり、それになぜか会いたくもあったのです。
行けば予想通りに話し込んでしまい、ここで初めて浜野家の様子を知ることが出来ました。
由希子さんは現在58歳。このお店を初めて、30年以上だと言います。一人娘は嫁ぎ、たまに家族でやってくるそうです。
問題は旦那さん。これがこの時はハッキリとは聞けませんでした。彼女の話が怪しくなり、僕から会話を切ったからです。
このお店を始めたのは彼女ではなく、旦那さんの方。由希子さんは手伝い程度だったらしい。しかし、いつからか彼女がお店を仕切り始めたと言います。
これだけで、旦那さんがただ事ではないと分かったのです。『じゃあ、いまどこに?家のなか?病院?』といろいろ考えますが、そこは聞けません。
とにかく、その姿は不明のままなのです。
カウンター越しに話をしていた彼女が、『そっち座って。』と言って来ました。古びたお店の中に置かれた、待合い用のイスです。
夕方だし、長話しにもなっていたので、『そろそろ。』と思っていただけに、少しビックリします。『まだ居てもいい。』と言うのです。
結局、それから30分も話し込んでしまい、このお店の閉店時間をとっくに過ぎてしまっていました。
カウンターに肘を掛けていた由希子さんもその体勢が崩れ掛かっていて、もう仕事モードではないようです。
その顔を見ると、一日の仕事を終えた女性の顔をしていました。厚い化粧も程々に崩れ、そこからは疲れた表情も見られます。
化粧を取った顔も想像してしまい、出て来るのはあの熟女AV女優さんの顔。よく見るとそうでもないのに、トータル的に美人ってやつ。
由希子さんは、まさにその系統なのです。
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