引越の荷物を全部業者に出し、明日の着替えくらいしか残ってない私の部屋に、夕方、4人が揃った。
大学4年間の思い出で盛り上がった。
サークルのこと、友達のこと、そして2人の恋愛話。
もちろん、変態な話題なんか、できない。
外が真っ暗になった。
春美の母が言った。
「最後の夜だもんね、2人で過ごしたいでしょ?」
もちろん、うなずく2人。
出かけ際、私の母が1万円くれた。
「明日の正午までには、帰ってきなさいよ。」
最後だと分かっているのに、笑顔な2人。
近くのレストランへ行って、2人でパスタを食べた。
そのときの、楽しそうな春美の笑顔、今でも忘れられない。
ショートカット、気は強そうな顔立ちだが、笑うと目じりが下がり、えくぼが出る。
レストランを出て、手をつないで街を歩く。
最後の夜、もちろん、行き先はラブホ。
今まで2人で、ラブホに宿泊なんて、したことなかった。
目いっぱいの思い出を作ろう・・・最初はそう意気込んでいた。
部屋を決めて入室。
思い切って、夜景がきれいな、高い部屋にした。
だけど、最後の夜。
そう思うと、自然と涙が・・・
互いの名前を呼び合って、抱き合って・・・
ベッドに倒れこんで、服着たまま・・・
ずっと、ずっと、泣いていた、2人で・・・
一緒になれない、運命。
世界一大好きでも、幸せにはなれない。
これほど、辛いことがあろうか。
最後のエッチなんて気分になれなかった。
春美の顔が、グチャグチャになっている。
お互い、涙だらけの顔を舐めあった。
泣き疲れて、眠ってしまった。
私の部屋で、春美の母も、ごめんなさい、ごめんなさい、と泣き崩れていたそうだ。
私の母も・・・
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