6才のお誕生会以来、愛莉ちゃんは益々私になついて、毎週の土曜日・日曜日には玄関のドアを叩き、チャイムを鳴らして、
「おじさん、あーそーぼ」
元気な声で私を誘ってきます。
遊ぶのはだいたい2時間、長くてもそれより30分オーバーするかしないかで、きちっとけじめはつけていました。
また、雨が降って遊べない日は、お遊びはお休みを徹底していました。
母親のチカさんと打ち解けてはいましたが、遊ぶ時は愛莉ちゃんを自室には入れないで、チカさんの目が届くように外で遊んであげていました。
お誕生会の日から2ヵ月が過ぎようとしていたある土曜日。
いつもより早い時間にチャイムが鳴るので、?と思いながら出てみると、チカさんが愛莉ちゃんと一緒に立っていました。
「こんにちは、いつもいつも愛莉がご迷惑をおかけして申し訳ありません」
チカさんが来たのは、私が愛莉ちゃんと遊んでくれている事へのお礼でした。
「それで、もしよろしかったらですが、あの~、土曜日だけでもご飯をご一緒にいかがかなと思いまして」
「え?」
「おじさん一緒に食べてぇ、あーちゃんおじさんがいいんだもん」
「愛莉もこう言っているのでお願いします」
「お邪魔じゃないですか?」
「いえ、全然。愛莉も喜びますし」
「それではお言葉に甘えてお邪魔させていただきます」
「あーちゃんよかったね、おじさん来てくれるって」
「わ~い、やったぁ~」
「おじさん、今から遊ぼ」
「いつも何時ごろ食べられます?」
「私はいつでもいいので愛莉ちゃんにあわせてあげてください」
「すみません、気を使ってもらって」
「いいえ、こちらこそありがとうございます」
「できましたら愛莉に呼びに行かせますね」
「わかりましたお願いします」
18時にチャイムとドアを叩く音がしました。
「おじさんあけて~」
手ぶらは如何なものと、遊び終わってから買い出ししたちょっとした手土産を持って、愛莉ちゃんと一緒に。
「ママぁ、おじさん連れてきたぁ」
「こんばんは、お邪魔します」
出てきたチカさんに持ってきた袋を渡しました。
中身はアルコール飲料とフルーツ、愛莉ちゃんのお菓子。
散々迷っての買い物でした。
「ありがとうございます」
「ママぁ、おじさんからなにもらったの?」
「ん~、あーちゃんのお菓子」
「わ~い」
「あーちゃん、ありがとうは?」
「おじさんありがとう」
それからチカさん手作りの夕食を、3人で楽しく戴きました。
食べ終わってからはしゃいでいた愛莉ちゃんが大人しくなり、目がトロンとして如何にも眠たそうな雰囲気。
「あーちゃん眠いね」
チカさんが膝に抱っこすると、あっという間に寝落ちしてしまいました。
「愛莉ちゃんも寝たのでお開きにしましょう」
「あ、待って」
「愛莉を寝かせてくるから待ってて」
チカさんは慌てたように愛莉ちゃんをベッドに寝かせに行きました。
私は期待と不安の入り交じった複雑な気持ちで、チカさんが出てくるのを待っていました。
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