守はすごく真面目な人でした。それは普段の生活からでも判ります。
服装もお世辞にもオシャレとは程遠いし、顔だって酷くは無いと言う感じで
したが、心の熱さはビンビン伝わって来ました。
毎日の様に彼との逢瀬(逢引)が行われました。時間は家事を終え一段落し
た13時頃から15時頃までの間です。時間が無い時は待ち合わせた公園で、彼
の車の中で話し込んだり、時間が有る時はお弁当を作り、遠出した事も有り
ます。
こんな話はつまらないでしょうから・・先に進めますが、手を繋ぐだけの行
為から、一歩進んだのがその待ち合わせしていた公園の中でした。
公園の上には小高い山が有り、チョッとした散歩道となっています。ベンチ
も有り眺めの良い場所です。そこを歩いている時、ふいに守に抱きしめられ
ました。本当にそんな事をして来たのは初めての事でした。
「お願い、これだけでいいから・・こうさせて。」
さほど強引な風でも無く、私を抱きしめるだけです。
私は、その場に立ち止ったまま彼に抱かれておりました。
この程度なら良いだろう・・、そう私は思いました。でも考えてみたら、男
の感情をそう簡単には抑えられるものでは有りません。それを私は忘れてい
たのかもしれません。人目の無い時には、彼が私を抱きしめる。それが当た
り前の様になりました。
※元投稿はこちら >>