美紗は、私の暴走した欲望を受けた。
自ら、承知で受けたのだ。
『果たして、こんな女が実在したなんて…。まるでAVに出てくる女優の様じゃないか…。』
二度目に美紗を抱いてからというもの、一人の夜が、苦しい。
こんなに『女の身体』が欲しくて苦しいのは、初めてである。
それも、たった一人の…
しかも『人の妻』である。
美紗の身体を二度目に抱いてから、2日目の夜。
本格的な、夏の到来で寝苦しいのに、床に入ると、更に頭の中に美紗が現れ私の思考を蝕む。
堪らなく。
風も止まり、住宅近辺は、人も車もなく、風の音もない。
ただ、鬱蒼とした夜の闇が蒸して漂うばかりで、私の肉体に余計に火を注ぐ。
事務所奥の寝起きしてる部屋から、私は起きだして、何かを払拭しようと飛び出すように外に出る。
全くもって、暑い。
藤木宅を遠目に眺める。
『まだ、聡さんは戻らないのだろうか…。』
そんな事を心で呟きながら、やるせない気持ちをもてあましながら少し歩く事にした。
住宅から、市街地の逆に向かい20分程歩くと大きなバイパスが通っている。
更に奥には、山が連なりバイパスに山頂で冷えた空気を吹き付ける。
私は、夏の暑い夜に眠れない時など此処に涼みにくるものだ。
だが、私の身体は毎年の身体とは違っていた。
身体に篭った熱は冷めるものの頭は冴えてくる。
それに相して、頭の中には、先日に乱暴的な私の欲望に蹂躙され苦悶する美紗の姿が鮮明に浮かぶ。
『だめだ…。まさか、こんなに苦しむなんて…美紗…』
結局、この日は朝まで目が冴えて眠るどころではなかった。
額から首にかけ、ねばる汗が感触が悪い。
まだ、陽が昇って間もない。
東の空からは、陽が爛々と差し込み事務所に新しい曜日を届ける。
私は、いつか日課であったハズの見回りを2日怠っている。
眉間に皺を寄せ、美紗の出現を事務所の窓から待ちわびるのだ。
今日も、陽が昇ると事務所の応接用ソファーに腰をおろし窓の外に目を凝らす。
いつめなら、清々しい朝のハズが…欲望にまみれた私は、獲物を狙う猛獣である。
獲物の捕獲こそが、最も清々しく。
充実なのだ。
今の私は、美紗との情事が至福なのだ。
『私は、どうかしている?』のだろう。
ふと、窓の外を眺めながら思った。
思い直して、奥に戻りシャワーを浴びた。
今ままで身体中にまとわり付いていた粘る汗が落ちると身体が軽くなったかの様に軽く爽やかだった。
住宅の見回りを始めた。
やはり、私は
『どうかしていた』のだ。
正午には、2日分の溜まった仕事を終えた。
何時もスーパーに昼食を買いに住宅を出た。
スーパーに入り、店内を見回すと私は、目 より先に男の本能がみつけた。
美紗 だ!
気が付くと美紗に向かって歩きだしていた。
見つけてどうする事とも考えてはいない。
ただ、身体が自然に美紗に足が向いてしまったのだ。
美紗は、レジに立ち財布を開いていた。
これなら美紗が外に出てから『声をかけよう』
心に決めてから弁当を取り少し離れたレジにならんだ。
美紗は、買い物を袋に詰め終え外に出た。
私も追う。
スーパーを出た美紗には、直ぐに追い付いた。
『美紗!…さん。』
私が美紗の肩を後ろから叩き、呼んだ。
美紗は、直ぐに私と判ると振り返り、屈託ない笑顔を見せた。
『今日、今日、予定はどうですか?美紗さん?』
はにかんで美紗は
『夜に…伺わせて頂きます。又、あの喫茶店で…』
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