どう見ても、不釣り合いな会長と私で、私は、そのままラブホテルに直行した。何軒か建ち並ぶ付近に近づいた時に
「あそこに入りますから」
助手席に座る会長に言う。
いよいよ!と会長は思ったのか、急に緊張するのが分かった。
部屋へはガレージの裏のドアから直ぐに階段で繋がっていて誰に出会う心配もなく部屋に入る。
緊張気味の会長をソファーに座らせた。「私、こんな場所に来るの初めてなの、凄いわねぇ」
会長は座ったまま部屋を見回していた。確かに、そこのラブホテルはセックスだけを目的とした作りに成っていて、大きなベッドに天井には鏡が張り付けられている。
反対の壁の棚にはテレビと、横に化粧鏡、棚の下には小さな冷蔵庫と性具の販売機。
小さなテーブルには案内書が、会長は、どうして良いのか気を反らすのに案内書を開く。
最後のページに性具が写真入りで生々しく紹介されていた。焦ったように案内書を閉じ視線を天井に向け驚いた表情。
私達は会長が落ち着くまでソファーに座り話をする。
もうすぐ還暦を迎える年齢に近づいた会長、旦那さんは小学校の校長を終え退職、そのまま市の教育委員会に行き、かなりの激務に心筋梗塞で数年前に亡くなった。
その辺りから、その日の核心に話が入って行き、旦那さんとのセックスは四十代の前半から無くなり、もう十五年はしてないと話す。
今から、この部屋で!と言うと、長い間してないから怖いと言う。
きちんと揃えた膝の上に両手を置いた会長の手に私は手を重ねた、緊張が更に高まったのか手先が固まってるのが分かる。
私が子供の頃に旦那さんで有る先生に良く怒られた、とか昔話を始めた。
次第に私の手に慣れて来たのか膝の上で、そっと私の指先を握って来る、会話とは違い手先は互いに柔らかく愛撫し合う。
「康子さん」
私は会長の名前を呼ぶ、恥ずかしけに私の方に振り向く。
無言のまま顔を近づけ合い、そのままキスを交わした。
長いキスが終わり顔を離すと、会長は自分の表情を見られる事が恥ずかしいのか、私の胸に顔を埋め顔を隠した。
一緒に風呂に入るのを、かたくなに拒む会長、私が先に入りタオルを腰に巻き戻ると会長が続けて入った。
ホテルに備えたガウンを纏い現れた会長は、どうして良いのか立ち尽くす。
そのまま私達は再びキスを交わし、ベッドに誘う。
仰向けになった会長は天井の鏡に映る姿を見て、恥ずかしいと顔を両手で隠した。
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