随分とリラックスして来た彼女は、指先を弄りながら
私達が、こんな所に居るなんて誰も知らない訳よね。
独り言のように、ボソリと言う。
だろうね、誰か知ってる者が居たら、それこそ大騒動だけどね。
そうよねぇ。
弄る指先を見詰めながら言う。
指先が気になるの?
えっ、いや別に何でも無いんだけど近頃、指先が荒れて。
どれ、見せてご覧。
私が手を出すと彼女は右手を差し出す。
あ~本当だ、痛く無いのかな?
痛みは、そんなに無いんだけど、人の前に出すのが恥ずかしくて。
そうかぁ、でも、こんなに成るくらい頑張ってるんだ。
そうよ、頑張ってるの。
彼女は笑いながら応える。
偉い、偉い。
アハッ、ありがとう、でも貴方の掌、温かいね。こうして何時も女性を誘惑してるのかな。
何て事を、こんな真似しながら凄く緊張してるんだよ。
そうなの?そうは思え無いけど。
茶目っ気たっぷりに彼女は笑う。
はい、そっちの手も見せて。
彼女の右手を彼女の腿の位置に戻す。
はい。
彼女は身体を捩り左手を差し出す、彼女の手を掴むと、グッと引き寄せた。
あっ。
突然で驚きながら私の左腕に崩れるように持たれる彼女。
私は、そのまま彼女を軽く抱き寄せた。
彼女の緊張が衣服を通しながらも痛い程、伝わって来る。
彼女を抱き寄せながらも、私自身も後ろめたさを感じずには居られなかった。
それでも何よりも今、腕の中に埋もれる友達の妻、今から起こりうる事への期待感。
それに伴う淫靡な興奮が、後ろめたさよりも勝り、彼女を解き放す事などは出来る筈も無かった。
ねぇ?
うん?
約束して、今日の事は誰にも話さないって。
当たり前だよ、二人だけの絶対の秘密だよ。
うん、お願いよ。
握った左手を、ゆっくりと私の肩に掛けさせると、そっと顔を彼女に近づけて行く。
駄目、ダメよ。
嫌々をするように顔を微かに振る。
唇が触れようとする。
はぁ~ダメぇ。
彼女の唇が動くと同時に私は唇を重ねた。
はぁ~ぅぅ~っ、んん。
くぐもった声が洩れる。
息苦しさで唇を離す。
彼女は深いため息に似た吐息を漏らす。
再び唇を重ねて行く、私の舌が彼女の唇を押し広げて行く、彼女の舌先が躊躇うように私の舌先に触れて来る。
はぁ~駄目ぇ、ダメょ。
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