私はAさんが車から降りるのを待っていましたがなかなか降りる気配がないのでAさんの車のガラスをノックして自分の車の助手席に乗るように促しました。
助手席に座ったAさんはジーンズの膝に堅く握った手を置いて、それをじっと見つめたまま私の方は全く見ようとはしていませんでした。Aさんの周りの空気だけガチガチに固まっているようでした。
私はまたタバコに火を付けて、
『こないだここでAさんが逢っていた男って旦那さんじゃないですよね?』
と静かに聞いてみました。
Aさんもここに来るまでに色々な言い訳を考えていたみたいで
『あれは私の友人で貸していたCDを返してもらっただけで少し話しをしてただけです』
と早口でまくしたててきました。もうこの時点で私の腹は決まっていましたし、必死な様子のAさんを見て逆に私は落ち着いてきて、
『あの男車から降りてないっすよね?じゃあ、なんで俺がAさんが出逢ってた相手が男だったって知ってるかわかります?CD返すのに座席フルフラットにする必要ないっすよね?話してたって言いましたけど、Aさんと男の口ふさがってましたよね?』
とあっさりAさんの嘘を指摘しました。その時車に乗ってから初めてAさんが私の目を見ました。
※元投稿はこちら >>