昨年の夏、長年連れ添った夫を亡くしました。
夫の四十九日が過ぎたころ、娘の嫁ぎ先のお父様、娘にとっては義父にあたる
人と関係をもってしまいました。
娘の義父、ここではあきらさんとしておきます。
あきらさんは、8年前に娘の義母である奥様のあけみさんを亡くし、その時から一人で暮らしていましたが、
娘の話ですと、来年には70になるというのに何人かの女性とお付き合いしているそうなのです。
それはあけみさんがお元気なころからのことで、あけみさんとお茶をした時に、
あけみさんが、若いころからだからもう慣れっこ。と笑いながら話していました。
あきらさんは鉄工の会社を経営されていて、端正な顔つきですが日焼けしていて、
普段着のシャツを着ていても盛り上がる筋肉を隠せていません。
教師をしていた色白で槌せていた夫には無い男臭さを感じさせ、娘の結婚前に両家で顔合わせをした時に、
あきらさんの匂いに、夫と何年もなかったこともあってか、年甲斐もなくじゅんとしてしまいました。
ある日あきらさんから電話があり、四十九日も済んでホッとした半面、気疲れしたでしょう。俺も女房の時そうだったからわかるよ。
よかったら飲みに行かないかい?と誘われました。私もお酒は好きな方で、ぜひ、と返事をしてしまいました。
その時は一人で晩酌をするつまらなさから、つい承諾しましたが、
電話を切ってから、もし誘われたらどうしよう、と考えてしまいました。でも私も65を過ぎたおばあさんなので、
いくら女性関係が派手なあきらさんでもこんなおばあさんは誘わないだろう、と自分に言い聞かせ、
しばらくぶりの外出にうきうきしながら、ばっちりと化粧をし、洋服を選びました。
その時私の中の女の部分が、夫の前では何年もレスだから当然ですが、夫の前ではつけたことのない、
以前に何かあったらと購入した下着をつけていました。
あきらさんの行きつけの高級そうなお寿司屋さんで待ち合わせをし、
きれいに握られ盛り付けられたお寿司と、あきらさんの娘の旦那の小さいころの話や
あきらさんのお仲間とのことなどを面白おかしく話され、日本酒がいつもよりもおいしく感じられました。
最後のお料理も済み、あきらさんは会社につけてお店をでました。
私は少し日本酒を飲みすぎて足元がふらつき、
あきらさんに腰に腕を支えられ、私はあきらさんの腕にしがみつきながら、
あきらさんに促されるまま、でも私の頭の中は意識がしっかりしてるつもりで、歩きました。
あきらさんに支えられて歩いていると、キラキラしたネオンが光るホテルが見えて、
あきらさんは私に腰に回した腕に力を入れると、何も言わずホテルに入りました。
私はこういうところに入ったのはしばらくぶりのことで、
もちろん夫とではなく、私が仕事をしていたころで四十台の時、
会社の後輩に忘年会だったか飲み会の帰りに誘われて、一度だけの約束で入ったことと、
これが最後と言い聞かせながら、それでも何度も後輩に誘われるまま逢瀬を重ね、
後輩が会社を辞めるまで続いたことがあります。
そんなことを思い出しながら、あきらさんに促されるまま部屋に入りました。