私は尚美、年齢はアラ還です。工務店を営む夫と娘が二人います。そんな私に起こった出来事を誰かに聞いてもらいたいと思い、ネットでググっていたら、このサイトを見つけました。
タイトルに『女の残り時間』って書いたけど、もう女としては終わったと自分でも思っていたんです。
そんな私が好きになってしまったのは、会社の取引銀行の担当者の黒木君(仮名)でした。
彼は仕事も出来るし、うちのような小さな取引先に対しても親身に対応してくれて好感が持てました。
見た目はイケメンとまではいかないけど、優しい笑顔がいいなぁ…と思ってました。
彼のことは夫も気に入ったみたいで、担当になって半年くらい過ぎた頃に私も一緒に三人でお酒でも飲もうかって話になりました。
ところが、当日になって夫が取引先のお通夜に行かなければならなくなり、中止かなと思ったんですが、彼も楽しみにしていたようなので、二人で行ってきたらって夫が言うんです。
私はもちろん、若い男の子と二人きりで、しかも夫公認で出かける機会なんて、めったに無いから喜んで行きました。
彼は夫が来ないのでちょっと驚いてたけど、ハイボールで乾杯した後は、銀行の支店長のパワハラや仕事の愚痴、女子行員の噂話など楽しくお喋りしました。
思ったよりピッチが早かったのか、彼は酔いが回ったみたいで、そのうちプライベートな話…彼の恋愛相談みたいになってました。
私もその手の話は嫌いじゃないので、自分の経験談を話したりして相談にのってあげてました。そのうち、彼がすっかり出来上がってしまい、もうこの辺で切り上げることにしたんです。
運転代行を頼んだんだけど、金曜の夜でどこもいっぱいで、仕方なく私が彼をアパートまで送って行くことにしました。
私はもともと夫の運転手をするつもりだったので、ソフトドリンクしか飲んでなかったんです。
彼のアパートまで送って行ったけど歩くのもおぼつかない感じなので、ふらつく体を支えながら部屋に入りました。
独り暮しの男性の部屋に入るので、ちょっとドキドキしました。さぞかし、散らかってるんだろうなと思ってたんだけど、案外きれいに片付いてました。
彼をベットに寝かせ、『お水、飲む?』と聞くとうなずいたので、冷蔵庫に有ったペットボトルからコップに注いで彼に渡すと、ゴクゴクッと一気に飲み干しました。
『大丈夫そうね』と言って、私が立ち上がろとしたその時でした。
彼が私の腕を引き寄せるようにすると下からハグして来たんです。
私はバランスを崩して、ベットの横に膝をついた姿勢で上半身を彼に抱き締められました。
『黒木君、どうしたの?悪ふざけはよして…』
『酔っ払ってはいるけど、ふざけてはいません。奥さんのこと、好きなんです』
(えっ、好きってどういうこと?)
私は頭の中が混乱したまま、気が付くと彼に唇を奪われていました。