「元気だったか?」
「ええ、あなたは?」
「このとおり、元気さ・・・」
肉棒を握らせると、晶子は嬉しそうに笑った。
俺も晶子も53歳、毎年、ある月の第三土曜にこの宿で逢う事30回になる。
ここは母校の大学がある街の奥座敷、俺と晶子は大学時代の恋人で、処女と童貞を捧げあい、最後は同棲して愛し合い、卒業で泣いて別れるとき、毎年一回逢うことを誓って別れた。
先に晶子が結婚し、二度の出産があったが、晶子は逢瀬に支障がないように出産をコントロールして毎年やってきた。
俺も結婚して子供がいるが、俺も晶子も毎年母校に戻るイベントに参加すると言う口実で長年出かけていたから、お互いの家族は毎年恒例のことと全く気にかけなくなっていた。
以前は、駅で待ち合わせたら、まずは二人暮らした街を散策して青春の思い出に浸ってから旅館に向かったが、ここ10年くらいは真っ直ぐ旅館に向かうようになっていた。
旅館でまったりと夫婦のように過ごしていたから、きっと、中居さん達は私達を夫婦だと思っているだろう。
ここ数年は泊まる部屋のランクも上がっていて、部屋に付いた露天風呂に二人で浸かり、昨年から今までの出来事を話し合った。
「俺、結婚して25年、銀婚式なんだよ。お前はもう27年だよな・・・」
「ええ、上の娘は今年結婚するわ。今度あなたに会うときは、私、お婆ちゃんかもね・・・」
今までは会うと子育て、受験、就職など、子供の話題ばかりしていたが、子供達が手を離れたここ最近は、体のことを気遣うようになっていた。
露天風呂で木漏れ日を浴びた晶子の横顔を見て、重ねた年齢を感じた。
昔から痩せ型ではなかったが、ここ数年は晶子も贅肉が付き合始めていた。
晶子の後ろに回り、抱き抱えるようにして乳房を揉んだ。
「ハァン・・・もう、垂れはじめてるのよ・・・」
と言いながら、俺のイチモツに触れた。
半起ちだったイチモツがムクムク反応した。
「元気ね・・・ウチの人なんか還暦も近いから、最近衰えちゃって・・・」
抱き寄せて唇を重ねた。
1年ぶりのキスを長い時間かけて楽しんだ。
和風のベッドルームに移って、畳ベッドに敷かれた布団で晶子の股を開いてクンニした。
すっかりドドメ色になった肉ビラを広げて、クリ肉を転がした。
すぐに硬く勃起して、晶子が身を捩った。
「アア・・・イイ・・・」
そして晶子が繰り出すお返しのフェラは長年連れ添った女房のそれとは違い、俺と付き合っていた三十数年前に試行錯誤で身につけたやり方そのものだった。
毎年、晶子の懐かしい舌使いに、女房のフェラは誰が仕込んだのだろうと少し嫉妬していた。
「晶子、今年も中出しでいいのかい?」
「ええ、もう、無くなってるから・・・」
晶子の肉穴に生のまま肉棒を突き立て、懐かしいGスポットを探した。
女房より若干奥にある晶子のGスポットを擦り上げると、激しく喘ぎ始めた。
きっと、旦那との性生活は激減しているのだろう、俺の腰を抱えるようにして引き付けて、腰をグイグイ押し付けた。
晶子の肉穴の中で俺の肉棒が回転するように暴れて、晶子の喘ぎは唸りとなっていった。
繋がる事を楽しむ女房とのセックスとは違い、晶子は性の快楽に飢えているように感じた。
背徳の不倫を楽しんでいるように感じられず、何となくこのまま続けて行くと破滅が近い予感がした。
「アァッ、アァッ、アァアァァ~~~」
乳房と贅肉を振動させながら、激しく喘ぎ始めた晶子の肉穴に、耐えることなくドピュルルル~~っと射精した。
「ゴメン、晶子・・・漏れちまった・・・最近、俺も衰えてきたなあ・・・」
わざと早漏のふりをして、逢瀬の終焉をイメージさせた。
もう一度湯に浸かり、運ばれてきた料理を楽しんだ。
ビールでのどを潤し、地酒を冷で味わい、夜は旅館本館のバーでグラスを傾けた。
「俺達、年取ったよなあ・・・」
「そうね・・・あれから30年かあ・・・まだ、昭和だったもんなあ・・・」
「毎日、楽しかったよな・・・」
「ホント・・・でも、遠い思い出・・・」
「そうだな・・・すっかりセピア色だ・・・」
「潮時・・・かな・・・」
「潮時・・・だな・・・」
毎年、旅館に来年の予約を入れて、先にある程度の支払いをしておいて1年後の再会を約束して別れていた。
もし、どちらかが来なければ、一人で泊まって来なかった相手に別れを呟いて、次の都市の予約を入れずに逢瀬は終わりという取り決めだったが、30年続いた。
翌朝、立派に朝起ちをしたので、最後の最後、晶子の肉穴に別れの精液を放って、旅館を後にした。
今年は、旅館を出るときに来年の予約を入れなかった。
在来線に乗り、新幹線の駅に向かった。
新幹線の改札を抜け、
「晶子、ずいぶん長い付き合いになったが、これで終わりだ。」
「ええ・・・本当のさようならだね。」
「さようならだな・・・晶子、お前、元気でな・・・」
「あなたの方こそ、お体、気を付けるのよ・・・」
「ああ・・・じゃあな・・・」
「サヨナラ・・・」
それぞれ反対方向に向かうホームにエスカレーターで上がっていった。
先に昭子の乗る新幹線が来て、晶子を乗せて走り去った。
俺は黙って晶子を見送った。
あれから5か月が過ぎた。
先日、偶然にも母校の大学がある街へ出張があった。
5か月ぶりに新幹線のホームに降り立ち、ふと目を上げると、晶子が手を振っているような錯覚に陥って反対側のホームに手を振った。
「課長、お知り合いでもいたんですか?」
部下に言われてハッとして、
「いや、何でもないさ・・・」
苦笑いしながら、晶子は今頃、何してるんだろうなあ・・・と、もう、二度と会うこともない晶子のこれからを想った。