この話は僕自身の35年の人生の中で、最も特異だった半年間の話です。
半年に3人。という以外はこれと言ってなんの変哲もないサラリーマンの日記程度のものですから、読んでいただける方は期待せずに読み進めてもらったほうがいいかもしれません。
このお話をする時代は今から2年前の夏。僕はその会社に勤めて8年目の中堅リーマンでした。会社の事業は食品関係。お茶漬け、ふりかけ、インスタント、レトルト、そういった類のものを製造販売する会社です。
会社自体は永〇園さんと似ていますが、そこまで大きくはありません。せいぜい地方の人だったら「〇〇亭のお茶漬け?ああ、確かにおいしいよね」と言ってくれる程度の会社です。
僕はそんな会社の営業部門で勤務していました。人員移動が多い会社の中で、8年間でずっと同じ部署だった社員といえば僕を除いて他の数名というくらいのものでした。
ですが、2017年の6月頃、そんな僕にもとうとう、、移動命令が下ったのです。
移動先は和歌山県の田辺市。知っている人もいるかもしれませんが、準リゾート地と言っても良い場所だと個人的には思っています。
本社勤めだった僕の業務は、8月1日より田辺市の直営工場へ勤務し、現地において「コラボレーション事業」を展開せよ。との命令だったのです。
コラボレーション事業とは、もともと「無添加、オーガニックの原材料を使用している」と謳っていた当社の加工品を、大手の食品メーカーとタイアップし、それこそ今流行りの「コラボ」をしていくというものでした。
言い換えれば有名企業にくっついて、会社の知名度を上げていこうという狙いがあったのでしょう。
僕にとってはコラボ事業だとか、会社の知名度なんてどうでもいい話ですが、この田辺市への赴任中の1年間(実際には1年半いました)、社員寮に宿泊すれば家賃光熱費がタダ。というところに注目していたのです。
当時は恥ずかしながら、僕には保険料と年金の滞納、そして20代の頃に遊びまくったカードローンが残っていました。
もし、今支払ってる家賃8万円プラス光熱費。これを全て返済に充てたら、半年足らずしてキレイな身になれるんじゃないか。っていう目標があったのです。だからこそ素直に田辺市までの移動命令を受け入れたのですが。
そしてこれから僕は、和歌山県、田辺市の直営工場に勤務し、そして同敷地内に存在する社員寮での生活が始まるのですが。。。
これが結構、ネタになるほど面白くなっていったんですね。あくまで僕個人としては。
ではシーンを進めていきたいと思います。
そして田辺市に赴任し、これから勤務する直営工場へと足を運んだのですが、やっぱり都会部にある本社とは違い、いい意味でも悪い意味でもノビノビしているんですね。
僕はそんな会社に「本社から来た人」という事で根拠もなく「デキる奴」という印象を背負っての業務となったのでした。
特に仕事が出来る人間とは思ってはいませんが、この直営工場は「色々な所がテキトー」なんです。それは田舎の人と都会の人の違いもあるのだと思いますが。
僕も20代の時にこういった経験があるのですが、大阪の北新地のキャバクラで下っ端のボーイを半年やってた事があるんです。
ですが、北新地時代はいつまでたっても新人扱いされ、ずっと下っ端だったんですよ。それが新地の仕事を辞めて、西中島南方の安キャバに入った瞬間、いきなり「北新地での経験あり。幹部候補として採用」になっちゃうんです。
社会ってこういう事よくありますよね。自分は何も変わってないのに、ただ前にいた場所のブランド力と、今いる場所のギャップによって自分の立ち位置が変わる。という事。
今回の本社から田辺市の移動も北新地と西中島南方の時と同じような変化だったんです。
なので仕事はめっちゃやり易かったです。僕がただ、「本社ではこんな感じで処理してます」といえば、もう相手は逆らえない。そして、「本社は本社なので、ここではここのいい所がありますので、何もかも本社の真似をするのではなく、真似していいとろは取り入れて、このままにしておいたほうがいい所はこのままにしましょう」なんて言ってみた日にはもはや英雄扱いですよ(笑)
自分より1つくらい役職が上の人間からも上司扱いされるわ、本社のほうからも「まとまってきてるっていう報告を受けてる。うまくやってるらしいじゃないか」ってお褒めの言葉を言われるわ、ただこっちはハナから評価とか査定とかそういう面倒な「足を引っ張りあう都会の概念」がイヤでここにきているのに、それが逆に追い風となっていってるんです。
そして、そんな感じで調子に乗り始めた僕を、さらに調子つかせる状況が待っていたんです。
話を少し戻しますが、この直営工場っていうのはいわゆる食品製造工場なんです。田辺湾で取れた〇〇(ここは伏せておきます)という特産品を加工し、それを製品化していく為の工場なのでした。
この工場で働いている人って、掃除のオバチャン、留学生まで入れたら総勢120名くらいの女性がいます。その中の120人の中に、一人や二人、変なのがいても不思議ではなかった。というのがこの話の中核になっていきます。
前振りはこれで終わりなので、いったん投稿します。