40代になり子供たちが家を出たのがきっかけで、訪問介護の仕事に着いて1年ほどが過ぎました。
依頼者のお宅を訪問し、お掃除やお洗濯などの家事のお手伝いをするのが仕事です。
訪問先の一つに、奥様が脳梗塞で倒れ、身体が不自由で、ほとんど寝たきりの60代の夫婦がいます。
週に2回の訪問で、そのご主人も定年しているので家にいますが、元来家事が出来ない人なので依頼したのです。
そのご主人の趣味がパソコンで、ご主人の部屋をお掃除する時に、3台もパソコンがあるので驚いたほどです。
気さくな男性で、奥さんとの会話が出来ないからか、私が訪問するといろいろ話しかけて来ました。
パソコンを習いたいと前から思っていたので、仕事の時は時間が無いので、仕事以外の日に訪問してパソコンを習うことにしました。
学校へ行かずに、タダで教えてくれるのでありがたいと思いました。
夫と違い、大手の会社を定年したダンディーなご主人に惹かれていきました。
ある日のこと、ご主人が悩みを話してきました。それは性の悩みでした。60代とは言っても、まだまだお元気で、それに、真面目な性格のせいなのか、女遊びは出来ない性格のようでした。
私にそのお手伝いを頼んできたのです。手で出すだけで良いので、報酬を払うと言われました。
最初聞いた時は驚きましたが、パソコンを教えてもらううちに、私は彼に惹かれていて、手でだけなら罪にはならない気がして、介護だと思えば良いんだと自分に言い聞かせ、引き受けてしまったのです。
報酬をもらうのは後ろめたい気持ちになりましたが、逆にそれが彼との一線を引いている気がしました。
奥様が寝ている隣の部屋で、彼が寝て下半身を露わにし、手で擦って出すのです。
奥様には罪の意識が生まれました。今考えると、あの時の私はどうかしていたのです。
3回目まではおとなしくじっとしていたご主人ですが、4回目の時に、その手が、私の胸を触ってきました。そうなることは予感していましたが、拒めませんでした。
本当は心の中では望んでいたのかもしれません。やがてその手は服の中に入り、直に触ってきて、彼が私に覆いかぶさるのを拒みませんでした。
その日に男女の仲になって仕舞いました。
欲求に飢えていた彼の愛撫は激しくて、夫とは感じない性の喜びを体験しました。
その関係は訪問する度に続きました。彼に愛されている時は、家族のことは忘れ、ただ愛欲に溺れていました。
そんなある日、寝たきりの奥さんの目から涙が流れるのを見ました。
その涙の意味が直ぐに分かりました。隣の部屋から私の喘ぎ声が聞こえたのでしょう。
私は、その日を最後に彼と別れ、そして仕事も辞めました。今は平凡な生活に戻っています。