サブタイトル【愛おしい人】
熱い時間が過ぎた。会えなかった日々の、これこそ充電する為に、二人で体を重ねあった。
もちろん・・・私の耳も入念に彼が・・・
愛されている瞬間が、快感を高めていく。最初は敏感な部分を彼の口に含まれ・・・吸い上げられ・・・舌が体内に侵入して来て・・・
二度目は、彼のもので深く・・深く・・・背後からも・・・崩れ落ちながら・・・イッた・・・
お別れの時間が近づく・・・手は繋いだまま、信号で止まる。
「健は、意地悪な人ね・・」彼は、笑う。「だって・・だって・・・」「言ってごらんよ・・・」「あんな状況で、私に電話させるなんて・・・意地悪だわ」
彼は、笑った。けれど・・・私の反応を試していたんだとか・・・どれだけ、俺のことを思ってくれているか・・・確認したかったんだって・・・
「確認できたから、うれしい・・・」そういう彼。「もう・・・バカ・・・」
本当に、あの時、胸がはち切れそうなくらい、ドキドキした。息子に対し、早く電話に出て、出て・・・そう思っていた。出てくれた瞬間、半分だけ、気持ちが落ち着いた。
喉がカラカラの状態で、しっかりと話せたかな?
平然として話したつもりだったけれど、息子はどう感じたか・・・帰ったら、息子の目をしっかり見よう、そう思った。
部屋まで歩いて10分の路上で、車を止めてくれた。街灯のない場所。彼は私を抱き寄せた。私は、目を閉じた。唇が重なった。
「またね・・・」私は名残り惜しくも、ドアを開けた。「美奈子・・・好きだよ・・・」「うん・・・私も大好きよ・・・」
手を振り、彼の車は走り去った。
後日話してくれたことだけど、隔週木曜日に、こちら方面のいくつかの営業所に顔を出す仕事になったと・・・うれしい!!
彼と会える時間が増える。早速、上司に、「家庭の都合で、隔週の木曜日の仕事は、3時まででお願いします」とお願いした。何とか、了解してもらった。
エレベーターにひとり乗り、鏡で髪を整える。女から・・・母親に変身する・・・鏡の中の私は、充電された柔らかな表情だった。