ウチの主人が単身赴任で東京に行かされ、主人も最初は月に一度は帰宅してましたが、赴任先で赤字が続き会社も主人へ都内の電車の定期を買ってよこす様になってからは主人もなかなか帰宅できず、都内の社員寮と会社の往復でした。
私はまだ、20代後半。
子供もまだ、なくて…
正直、寂しくて限界でした。
それで、レディースコミックに記載されていた通販でバイブを購入したんです。で、予定の期日を1日過ぎていたのに品物が届かなくて、通販会社に電話したら「ご住所は、〇〇〇〇〇〇〇ですよね?期日に届くよう、手配してございますので、運送会社に確認をとってみますね」大概、こうした時の電話対応は、流暢な敬語をはなす女性だ。
待機メロディをしばらく聞かされ、再びテレフォンレディが出て
「確かにお届けに上がりましたが、お隣様が、お宅のお留守を申し上げられ不在届けをポストに投函され、後日、運送会社に受取人お見えになられたと申しておりましたが?」
こうなってしまうと、モノがモノだけに、私は「そうですか…では結構です。」
そう答えて電話をきってしまった。
それから、数日たった、月曜日。
私はベランダから、忙しく通勤通学の人混みを見下ろしながら洗濯物を手際よく干してゆく。
隣の家の窓があいて、中年男性がヌッと顔を覗かせ「おはようございます」と会釈まじりで挨拶されたので私も普通に
「おはようございます」とかえした。
隣の男性は坂本と言い、42~43くらいでバツイチで現在は未婚で通ってくるような女性は、風俗から派遣されてくる派手な、まだ未成年のような少女のような女性がたまにノックするくらいだった。
そのせいか?私は少し、隣の坂本と言う男性を嫌悪していた。
その坂本が私の挨拶を聞くとニタァとして、部屋にひっこんでいった。
背中に冷たいものを感じた。
昼食を済ませて、近くのスーパーマーケットに買い物に行き、帰宅すると玄関のドアノブに紙袋が下がっていた。
不思議に思い、中を覗くと更に茶色のスーパーマーケットの紙袋に何かを包みいれてある様子だったので、家に入ってから、開けてみた。
これまで、なくなっていた通販で買ったバイブの事など半分忘れかけていた。
が、しかし、紙袋からでてきたモノは、私が通販で買ったバイブだった。
しかも、何か、液体がべっとり塗り付けてあった。
一瞬で、鼻をつく臭いで状況が判断できた。
それと同時に旋律した。
男性の精液が塗り付けてあったのだ。
そんな事をする人間は隣の中年男しか思い浮かばない。
私の住む住宅は三階建てで一棟に入口が2つで一軒づつが階段を挟み、玄関が向かい合っている。
覗き窓から、私を監視していたのだろう。
主人が留守なのも先刻承知だろうし。
宅配の件も、恐らくは…。
しかし、問い詰め様もない。
次のゴミの日に燃えるゴミと分けて棄てた。
この辺りから、隣人の変質は表面化しはじめた。
気温も上がり、ベランダ側の窓を開けると、カラカラと音がする。
少し経つと隣から、AVであろう、女性のアノ時の切ない声が聞こえてくる。
最初は、大きな音で。
次第に気にしなければ、気にならない程度になる。
何故か気になって、つい此方が静かにすると音をあげる。
ある時は、風もないのに赤いビキニパンツを自分で投げ入れておいて
「すいません、隣の坂本ですが、洗濯物がお宅のベランダに舞ってしまって…。」
そう言って家の玄関をノックする。
仕方なく玄関の施錠を外すと扉をあけ、ぐいぐい押し入ってきた。
顔はにやけ、野獣のような目を私に向け、荒く途切れ途切れの息が私の顔にぶつかり異臭を放った。
思わず、私は息を止め、異臭に耐えた。
坂本は、私を勢いよく押し倒し、のし掛かってくると、私の身体は異臭に耐える為に息を止めていたせいで意識が掠れ、昏睡に堕ちた。