それだけで、すべての心の迷いは消えたのです。
30代半ばでまだ女性を知らない彼も、さすがに知識は普通の男性と
同じように持っていました。スカートと下着を脱がされて、彼の指の
愛撫は、私の下半身に移っていきました。そしてまもなく
彼の舌は胸からお腹をたどって、薄い茂みに移って移動していきました。
結婚後、主人以外の男性は初めてではありませんでした。結婚後も
勤めていた会社の、上司で、他府県から単身赴任している男性がいました。
その上司が家族のもとに戻ることが決まって、歓送会が行われました。
その席で、涙が出て止まりませんでした。離れることを実感して
その上司がいとおしく思えてきたのです。仕事でも、何度も世話になって
いました。尊敬する上司でした。数日後、二人だけで、飲みに行きたいと
誘われて、成り行きで、その後上司の腕で寝てしまったのです。
翌朝後悔しました。主人を裏切ってしまったことをです。その一回
きりでした。でも、そのとき彼に抱かれているときは、そのときとは
違う気持ちでした。男女の生臭い肉欲とは違い、神秘的なもので
背徳感はあまり感じませんでした。彼の行動にただ従うだけで、
それだけで、満足でした。経験の無い彼はすぐに果ててしまいました
でも、若い男性と思えるような回復力で三度私を支配して来たのです。
すべてが終わった後で、彼の背中のコブを直に指でなでながら聞きました。
「明日から来てくれるでしょう?」彼はだまってうなずきました。
それから彼が体を壊して、姉の近くがいいからと、遠くに引っ越して
いくまで1年少しの間、週に一回ほどの割合で、彼に抱かれていました。
今思うと、その1年少しの間は、私は主人の妻ではなく、彼の女でした。
そして、二人の子供の母親でもなかった気がします。最初のあいだ
こそ、経験が無いので、物足りないものでしたけど、だんだんとその
エネルギーはましていき、2ヶ月もすると、私は彼の虜に成り下が
っていたのです。彼の命を短めたのは私のせいかもしれません。
でも、彼がそれでも満足だったと話すことは、自信を持って言えます。
彼とのことを話そうと思ったのは、初夢で彼が出てきて思い出したから
です。主人は取引先の新年会に出かけて、子供たち二人は友人と初詣に
出かけて留守なので、書いてみようと思ったからです。
追記:彼と関係ができて半年ほどして生理がありませんでした。
そのことは彼には話しませんでした。心配させたくなかった
からです。主人は簡単にだませました。コンドームをつかう
まえに、すこしもれたかもとというと信じてくれました。
子供はもう生まないことは話し合っていましたので、中絶しま
した。その後は、主人に内緒でピルによる避妊をしてました。