某国産高級車

偶々、社用で外出をした。
昼少し前に用事も終わり、今日は久しぶりに外食でもしてから会社に戻ろうと車を走らせる。
交差点で信号待ちをしている、順番に通り過ぎて行く車を何気に見ていると、一台の車の助手席の女性に目を奪われた。
ん！あれは家の妻じゃ？
反対の信号が赤になり私は思わず、妻と思われる女性が乗っている車の後を追った。
二車線の右を走り信号を通り過ぎた車に追い付き私は、その車の後ろに付いた。
暫く後ろを走るがシートが邪魔して確認が取れない、その内に車は車線変更をして右折車線に入って行く。私は右折に間に合わず、通り過ぎる時に、その車の助手席を再度、良く眺めてみた。
間違いなく助手席の女性は妻だった。
私は次の信号で右折をすると、一本脇の道路を妻達が曲がった道路に向かう。
車の通りは極端に少ない道路で、それでもなかなか妻が乗る車には追い付けずに、何処かに曲がってしまったのか‥？と思いながらも車を走らせた。
あまり土地勘の無い道路で、諦めかけた時に何台か先に、その車を見つけた。
車は暫く走ると今度は左に曲がって行く。
車ばかり気にしていた私は、ゆっくりと前の車に続くように左に曲がる。
前を走るのは、その高級車だけ、車間を取りながら走り改めて周りを見てみると、幾つかのラブホテルの案内板が目に入った。
こんな所を何で‥まさかラブホテルに向かってるんじゃ？
嫌な不安が脳裏を過る、最初のラブホテルが近付いた時に前の車のブレーキランプが点った。
極端にスピードを落とす高級車、みるみる車間が詰まり私は慌てて道路の端に車を止めた。
前の車は私の車にきづいて無い様子で、ノロノロ運転をしながら最初のラブホテルの前を通りすぎて行く。

その先で車は私と同じように道路端に止まる、５分‥１０分ぐらいだろうか車内で妻を説得したように車は走り始めた。
私も、のろっと車を動かし始める、前の高級車は次のラブホテルの付近で再びブレーキランプを点すと、ゆっくりと中に入って行った。
妻の浮気現場を目撃してしまった私は、過去の自分を忘れ激しい怒りと何故、妻が‥！複雑な思いが頭の中を駆け巡って行った。