続きです。お付き合い頂ければ幸いです。その日元妻と話あいました。タカシの暴力もさることながら、やはり金銭的な問題が一番元妻を苦しめているようでした。元妻いわく生活費とタカシの交遊費などでサラ金から数百万単位の借金があると言う事でした。確か私と復縁すれば間違い無くその借金は私が払う事になるなります。さすがにそんなムシの良い話に首を立てに振れる訳がありません。「そうだよね…当たり前だよね…」元妻はそう言うと顔をふせてしばらく黙っていました。そして意を決したかのように顔を上げ、今日家に来た本当の理由を話始めました。弱々しい声で妊娠している事を告げました。私は元妻との結婚当初から子供を望んでおり、子供が出来ない事に悩み通院しておりました。詳しい検査の結果私の方に問題があり元妻にあやまり子供をあきらめた経緯がありました。そして元妻は思いの全てを話ました。今の生活環境では子供を育てられない、かと言って堕胎する金もない。タカシに自覚は全く無く我感せずで相変わらず遊び呆けているとの事でした。そして私の子供として育てられないかと…。自分の中に衝撃が走りました。一生授かるはずのない子供、どんな形であれ子供が出来る。色々夢を見てきた子供との日々、絶対に叶わぬ夢。それが現実になる。それと同時にタカシの子を愛せるだろか?と言う不安。日に日に大きくなる子供、日に日にタカシに似てくる子供を愛せるだろうかと。その場で答えは出せませんでした。とりあえず一人で考えたいと元妻に告げ、元妻は近所のビジネスホテルへ泊まらせました。そして3日後私はひとつの答えを出しました。やはり私にはタカシの子供を愛する自信がありませんでした。その事を元妻に話し、堕胎費用と当面の生活費を渡し「もう、これっきりにして欲しい」と元妻に告げました。それを聞いた元妻は覚悟していたかのように目に沢山の涙を溜めながら「わかった!この子はおろさない。この子と二人で幸せになるよ」と精一杯の笑顔を私に見せ「ありがとう、ごめんなさい、少しでもあなたと一緒にいられ良かった」そう言うと、街の雑踏の中に消えていきました。それから元妻からの連絡は全く無く。私も通常の忙しい暮らし中でその時の気持ちが薄れ始めたました。しかしそれもつかの間でした。