その日、妻の態度がなんとなくおかしかった。
元々、性悪な女でない所為だろうか?
自分から望んだモノではなく、いわゆる脅迫に応じるような浮気(体の提供)。
「殺されるかも知れないと思ったから…だったら、体を許してしまった方が…。」
泣きながら訴える妻の言葉だった。
その…脅迫した相手(男)とは?
妻は、どうしても言わなかった。
でも、オレは、今後の事を考えて、警察の尋問のごとく問い質した。
ようやく、妻が答えた。
それは、妻の昔の知り合いだったヒト。
恋人ではなく、何度か交際を申し込まれた男だった…との事。
話を聞いて、妻に、「ソレは犯罪じゃないか…」と言った。
でも、妻は、警察に言わないで欲しい…と。
真相は、もっと遡った。
妻を脅迫した…その男とは、実は、妻の父親の愛人の子供…という事。
ソレ自体を知られたくなかった様子。
なんて、卑怯なヤツだ。
オレは、その男と会う事にした。
刃物沙汰になるかも知れない…と思った。
でも、妻の言った事の真実を確認する為にも…会う事にした。
男は、オレが会うと言った事に驚いた。
オレの据えたような物腰・態度に、その男は圧された様だった。
男の年齢は、妻よりも7歳下。
実は、リストラ・失恋等が重なり、自分の身の上を嘆いての行動だった様子。
愛人の子供…ソレはグレる大きな要因。
「しかし、頑張って生きてゆけ。…若いんだから。」
オレは、自分でも意外な展開になったと思いながらも、その男に説教した。
男は、言った。
妻は、自分の言った事を聞いて怯えた様子だった…と。
服を脱がされた後、まるで死んだみたいに横たわっていた…と。
男と別れ、妻の居る家に戻った。
「おまえのは…浮気じゃないな。」
そう言うと、妻が涙を浮かべて、オレの側に来た。
「あの男も…本意じゃなかった。」
世の中のバカ女房だったら、そういう機会を楽しむ所だろうが…。