私33歳はしがない公務員をしています。
結婚して3年まだ子供はいません。
妻28歳とは昨年の暮れまでは平凡ですが
幸せに暮らしていました。
それが今はとても普通とは思えないような
生活になってしまいました。
その原因は昨年のお歳暮にまぎれて届いた
一つの小包なのです。
宛名は妻になっておりました。
いつものように仕事から帰ってきて2人で
食事をすませ、それらの小包を開けていると
妻が突然、「あっ!」と小さく、しかしはっきりと
驚きの声をあげました。
私は何かと思い妻の方を見ると妻はその小包の中を
見つめ呆然としています。
私が「どうしたんだ?」と声をかけると妻は我にかえったのか
急にその小包を私に見られないように隠そうとしました。
私は変だと思い「どうしたんだ?誰からの?」と聞くと
妻は「う、ううん何でもないの・・・」とごまかします。
私は絶対におかしいと思い「じゃあ見せてよ」と言うと
妻は「え?本当に何でもないの・・・」とその小包を私に
見せようとしません。
私はだんだんイライラしてきて
「だったら見せても良いじゃないか!それとも俺に見せられない
ようなものなのか?」と聞くと
妻は諦めたように「ごめんなさい・・・でも・・・」と
涙ぐむ始末です。
私は突然泣き出す妻に驚きながらも、そっとその小包に
手を伸ばしました。
妻はそれでも見られたくないのかギュッとにその箱を握り
しめて放そうとしません。
そればかりかしきりに「ごめんなさい、ごめんなさい」と
謝るばかりでした。
私はテーブルの上に置いてあるその箱から一端手を離し
妻に聞いてみました。
「一体、何なんだ?どうして俺に見せられないんだ?
怒らないから言ってみろ」
妻はずっとうつむいたまま重い口を開きました。
「昔、付き合っていた人からなの・・・」
私が「なんだ、そんなことか。別に気にすることないよ
俺は気にしないよ、だから見せてごらん」と笑うと
妻が「そうじゃないの、あなたに見られたくないの・・」
と言います。
いくら鈍感な私でもそこまで言われたら何かあると思いました。
妻は「本当に見られたくないモノなの・・・あなたお願いだから
見ないで。忘れてちょうだい・・・」と言うのです。
結婚してそれまで妻が私にそんなに必死になって頼み込むことなどなかったので
私は逆にビックリしてしまい
「そうか、わかった。お前がそこまで言うなら見ないよ」と約束しました。
妻はホッとしたのかそれまでギュっと握り締めていた手の力を抜き、そして
立ち上がりその箱を持つと寝室に入ってしまいました。
私の頭の中は混乱していました。
見ないと約束はしたものの、とにかく箱の中身が気になって仕方がないのです。
見られたくないと言われたら、見たくなるが人間です。
どうにかして見られないか・・・そればかり考えていました。
その夜は出来る限り普通に装い、そんな小包のことなど気にしていないというか
忘れたようなフリをしてベッドに入りました。
しかし、なかなか眠りにつくことが出来ず
この部屋の中のどこかにある妻が絶対に私に見られたくないモノの
ことを考えながら悶々としていました。
そしていつもと変わらぬ朝を向かえ2人で仕事に行く為家を出ました。
家を出るまで妻の行動が気になって仕方ありませんでした。
そんなに見られたくないものなら私が寝ている間に処分していないだろうか
ゴミと一緒に捨てるのではないだろうか・・・
しかし、妻の行動を何気なく見ていても、そういった事はありませんでした。
そんな事を考えているうちに駅に着き妻と別れ反対のホームに向かいました。
妻は結婚する前から勤めている会社で経理事務を続けています。
いつも乗る電車がホームに入ってきたのに私の頭の中は気になる箱の中身の
ことでイッパイでいてもたっても、どうしようもありませんでした。
そして次の瞬間、私は改札に向かって歩いていました。
そして駅をあとにすると職場に電話を入れ体調がすぐれないことを告げ
午前中、半休をとることにして急ぎ足で家に戻りました。
帰り道、もしかして妻も同じ事を考えているのではないかと不安もあり
後ろを何度か振り返って見ましたが、そんなことはありませんでした。
家に着くと自分の家であるにも関わらず、何故か見知らぬ他人の家に
泥棒にでも入っているかのような気持ちになっていました。
そして寝室に一直線です。
ドアを開けるといつもと何も変わらない光景があります。
朝日が窓から差し込んでいて少し明るい感じがしました。
まずはベッドの下を覗いて見ましたが何もありません。
それからタンス、妻の化粧台を調べましたが何もでてきません。
残るはクローゼットの中だけでした。
私のスーツや妻の服が掛けてあるその下に靴の箱やなにかが
何個か重なっていました。
その箱を一つ一つクローゼットから出してみました。
すると一番奥の方に昨日見た、まだ包みにくるまったままの
例の小包がありました。
私の心臓は高鳴りました。
そしてその箱に手を伸ばしました。