私の仕事はモノカキだ。小説家、などという格好のよいものではなく、人物の取材記事から電気製品の「取説」まで、頼まれれば何でも書く。タレントのゴーストライターなんていうのは数え切れないほどやった。根がいい加減だからできるのだが、編集者は私を「器用なヤツ」と思ってくれているようで、結構仕事を回してくる。なぜか私が書いたタレント本はやたら売れるので、私のギャラは印税契約にしてもらっている。だからお金には不自由しないし、もともとお金を使うことに興味が無いんで、銀行には自分でも驚くほどのお金がある。今の妻は二人目である。一人目の妻は私の性癖を知り、気持ち悪いといい、結婚初夜の日に実家に逃げ帰ってしまったのだ。こんどの妻は奇跡的だと思うのだが、こんな変態の夫ともう5年も暮らしている。実は私は63歳だから、遺産が目当てだということは分っているが、最近では妻は、私でも思いつかないような天才的な変態行為で私を挑発してくるのだ。先月、私は南の島にバカンスへとめかしこんだ。日本人はあまり行かないところだったが、最近ある雑誌で紹介されてから日本人観光客が増えたそうだ。私は飛行機は正直こわい。このときも妻はガクガク震える私の手をとり、私の顔を窺うように覗き込み、その慈愛に満ちたまなざしで私を見つめ、「あなただけよ」とつぶやいた。しかし、私がその時考えたのは、乱気流に上下する飛行機の揺れと同期するようにゆれて見える妻の胸元に、私が手を突っ込み快感に歪む妻の表情だった。それでもやはり飛行機で痴漢プレイする気にはなれなかった。このまえ妻が電車プレイで他人のふりした時の恐怖が蘇ったのだ。あの凍てついたような瞬間が、私には相当こたえたのかもしれない。その後の、衆前でのオナニーと妻の飲精の歓喜は、あの瞬間の恐怖といつもセットで蘇ってくるからたちが悪い。この飛行機の中で、妻への痴漢行為が犯罪として罵声を浴びたとして、この前の電車プレイのときのように、それを歓喜のプレーへと転化していくストーリーを私は描けないでいた・・・。飛行機の中では、結局気分は終始悪く、ふらふらになったがなんとか必死のおもいで南の島にこぎつけた。飛行機を降りたつと南国特有の湿り気と、太陽に妬かれた大地のにおいが再び頭を揺らした。入国、税関こそクーラーが効いていたが、建物を出ると再び熱暑が私に襲い掛かり、私がふらふらで気分悪そうなのを見て、出迎えのおねえちゃんがおっぱいを見せてくれた、と思ったのもつかの間、それが現地のデブおばちゃん垂れ乳であることがわかり、冷静になってしまった頭を呪った。常宿に向かうリムジンはクーラーも効かず私も妻も運転手も汗だくになっていた。汗だくの妻は私の目からでもりりしく、胸元に一筋、二筋と流れ落ちる汗の行方を想像して、私はがまんできずにリムジンプレイに及んだ。運転手は、それがはじめから予定されていたかのように、車を路肩に停め、運転席を降りると、後部の座席に座る私の二の腕を、その大きな手で掴み、バカみたいに強い力で車外につまみ出すと、私に運転をするように手振りで指示をした。その腕の力は、その力が私の妻を陵辱することに使われることを想像しただけで、私の陰茎を瞬間的に100%勃起させたのだった。しかし、その後の光景は、あまりに滑稽であった。運転手は私にハンドルを持たせ、走りだすように促すと、後部座席に妻と並んで、なんと妻と揃って、各々がしこしこしだしたのだ。私は運転手の汗臭さと、体格に比較してあまりに貧弱なその陰茎をみて、私の勃起が萎えていくのが、これほどくやしかったことは無い。あまりに悔しかったから、私も片手でもどかしくジッパーを下げるなり、かつて経験の無いほどのハイスピードでしこしこしてやった。
...省略されました。