普段は会社内から出ない私が取引先に、どうしても届けなければ成らない物があり、会社の車で外に出た。
取引先で挨拶と引渡し物を担当者に渡し、10時を少し過ぎた頃、通り道のショッピングセンターでトイレの用を足そうと駐車場に入った。
用を済ませ駐車場に戻ろうと出口に来た時に、少し離れた場所に妻の姿を見つけた。
精一杯のお洒落をしたんだろう、普段には見慣れない服装であった、誰かを待って居る様子である、手には携帯が確りと握られて居る。
私は、声を掛けるタイミングを失い妻の様子をただ伺うだけになった。
妻は携帯を見つめ、おもむろに耳元に運ぶ、直ぐに一台の国産の高級車が妻の前で停まった、妻は慌てた様に携帯を耳元から離すと、緊張気味に立ちつくす。
運転席のドアが開き、中年の男性が降りて妻の方に歩み寄る。
男性が妻に話し掛けると妻は頷くように何度も頭を下げて居る。
男性も軽く、お辞儀をして助手席のドアを開けた、妻は男性に促される様に助手席に乗り込む。
運転席に戻った男性は駐車場から車を走らせ始めた、私は無意識の内に会社の車に乗り込み後を追う。
妻が乗った車と私の車との間に関係の無い一台の車、車は高速のインター方面に向かう。
この方向はインター以外にはラブホが建ち並ぶか工場が有るだけ。車は予測通りに、道路から奥まった一軒のラブホの中に消える。
一瞬、私の腸が煮えくり返る思いが過る、反面、初対面らしき男性とラブホに入った妻が相手の男性に、どんな風に抱かれるのか、妻はどんな風に乱れるのか!これも気に成り始めた。
まさか入ってしまった妻を呼び出す訳にも行かず、私は諦めその場を離れる。
会社に戻っても、その事が気に成り仕事が手につかない。
私は思い切って、普段はめったにしないメールを妻に送ってみた。それから暫くして妻から返事が返って来た。