台所に一人佇んで
熱いウバのミルクティーをスプーンでかき混ぜて冷ましながら
ふと思い当たることがあった
それは忘れもしない学生時代の夏
3年間ずっと憧れていた先輩が就職を決め
男の身体を知らなかった私であったが
どうしても先輩に最初の人になってほしくて
でもなかなか切り出せなくて
「好きです」って言う練習を一人階段の踊り場でしていたの
あぁ違う!あなたに言ったんじゃないって
思ったときにはもう遅かった
穢れを知らぬ私の唇は
学食の昼ご飯後の油臭いヌルヌルで塞がれて
放心状態の私は
気がついたら夢追う少女から女になっていました
あれから15年
忘れていた悪夢を
この身体の感覚を
呼び覚ましてしまった悪い男
そう、悪いのは私じゃない
私のせいじゃないんです
この週末、主人は夏休みの息子を連れて海に出かける
もちろん私も一緒に行くべきだったが
仮病を使って家に居る
週末は彼の初めてのお泊り
きっと夫婦の寝室で彼に一晩中いっぱい愛される
私はそれを望んでいない
望んでいないどころか
忌まわしさに吐き気すら覚える
でも、15年前に洗礼を受けたこの身体が
妖しく蠢き濡れそぼる
あぁ、悪いのは私じゃないの
あなた、わかってください