私は隠れ淫乱な小心妻です。月曜日と木曜日の朝、ゴミを捨てにいくと、必
ず会うんです、お隣のご主人と。トムクルーズと高倉健さんを炊いて2で割っ
たような端正なお顔立ちが私をいざなうんです。なるべくうつむいて、おは
ようございます、と言うようにしていますが、目を合わせちゃったらそれま
で。私は倒れる自信があります。ついこの間の月曜日には、ある出来事があ
りました。私の家はいつもは透明ゴミ袋1つの半分位のエコな量しかゴミが
でないのですが、そのときは3袋満タンでとても重かった。今考えてもとて
も重かったのですが、ふたつを持つのが精いっぱいで、ひきずって破るまい
と、玄関を出るまでは必死の形相で、玄関を一歩出てからは優雅な面持ちで
ゴミを運んでまいりました。そしてそこにはやはり麗しの君が。うつむき加
減におはようございますを決め込むと、いつもとは様子が違うのです。君が
こちらに近づいてきて、たいへんそうですな、おひとつお運びいたしましょ
う、と私のゴミを取ろうと手を伸ばしてきました。そして、ゴミの袋を取ら
ずに、私の手を!体中を電流が駆け巡り、その場にヘタヘタと座り込んでし
まいました。その隙に君は二つの袋を軽々と持ち上げ、私をその場に置いて
ゴミを運んでしまいました。私の心の中を気兼ねの嵐が吹き抜けてゆき、立
ち直ろうとしたその瞬間に戻ってこられた君は、そっと私に顔を近づけてき
ました。不覚にもウットリとしてしまった私は、キスをいただけるものと思
い、目を閉じ、背伸びをしましたら、君はささやきました。まだまだお盛ん
なようで羨ましい限りですな、と。意味がわかりませんでした。肩透かしを
くらった私は、君への返事もそこそこに、玄関に残してきたもう一つのゴミ
袋を取りに行きました。それはいったいどういった意味ですの?という返事
を用意して戻ってきましたが、君はすでにその場にはいませんでした。それ
でも君の手のぬくもりと男性化粧品の芳しき香りをお昼のおかずにしようと
ウキウキしながらゴミ捨て場所に袋を運んできた私の見たものは・・・。昨
日の主人との夜の営みに使用したゴムが二本、君の運んでくださったうちの
袋の底にへんばりついていたのでした・・・。もう私の操を君に差し上げる
しか手はないと思いつめて今日で6日目。どのように私を差し上げればよい
か、皆様良いお知恵を私にお貸しくださいませ。