みなさんからの返事を読み,続きを書こうか止めようか考えましたが‥
あの男が帰ってから,これからの事を考えていました。
横ですすり泣く妻が「本当,ごめんなさい。貴方の気持ちなど何も考えないで‥」
「‥」
「私,どうしたら良い?」
色んな事を考えていました。
妻と出会った頃,結婚する前遊びに行った事,会えない時夜通し電話で話した事‥結婚を許してもらおうと初めて妻の実家を訪れた日の事‥‥全てが遠い昔の事の様でした。
続けて行くのか,止めるのか‥私の返事一つで答えが出るのが怖くなるほどでした。
いつも笑って迎えてくれる妻の両親の悲しむ顔を想像すると考えが鈍るのでした。
「お前,本当にあの男と別れられるのか?」
「うん。」
「あの男の奥さんからは,今日,俺がアイツに言った以上の事,言われるぞ‥きっと。」
「わかってる‥」
「慰謝料だって請求されるだろうし‥」
「そうだね‥」
「お義父さん達に相談できる問題じゃないし‥」
「でも‥正直に言ってみるよ。」
「お前な‥人の気持ちを考えろよ。自分の娘が不倫して訴えられたって,知ったらどんな思いするのか。」
「でも‥私,どうしたら良いのかな‥」
「相手の奥さんに謝れよ。許してくれないだろうけど。」
「そうだね‥」
「うん,そうしろ。」
「ありがとうね。私の事や親の事まで考えてくれて‥それなのに私は自分の事ばかりで‥」
「本当だよな‥」
この数日間で始めて笑った気がしました。
「ごめんね‥」
「反省してるか?もう二度と裏切らないと誓えるか?」
「うん。絶対‥本当,ごめんなさい。」
「たぶん,お前の事は許すよ。忘れる事はできないと思うけど‥」
「ありがとう。本当ごめんなさい。」
やっぱり色んな事を考えると離婚までは踏み切る事ができませんでした。
「でも,アイツだけは許す事はないから。」
「うん‥」
「お前,好きだったのか?」
「たぶん‥寂しい時,優しくしてくれて‥奥さんともうまくいっていないみたい‥だからかも。」
「うん。好きな男と別れられるのか?」
「別れる。信じて。」
「わかった。」
これは全て,本当の事です。
1年以上も前の事ですが‥
相手の男が数日して
「私にできる精一杯です。」
と5百万を持ってきました。
「どうやって作ったんですか?この金は?」
「親,兄弟に相談しまして‥」
「奥さんは?」
「知りません。うちは妻とは離婚寸前でして‥」
「そうなんですか‥」