左頬を3倍に膨れ上がらした親友は
残る妻の相手2人をしょっぴいてきた。
ひぃ、もうしませんからお許しを~
決まり文句を吐くと同時に1人が視界から消えた。
そう、俺のアッパーカットが炸裂してしまったのだ。
もう1人は、ひぃ、もうしませんからお許しを~と
必死になって許しを請うので、あっさり許してやった。
やっぱり悪人でも義を厚くすれば通じるものだ。
残るは妻のお仕置きだ。
3人の首根っこをつかんで妻の前に放り投げた。
左頬を腫らした男とあごがケツあごになった男と
泣きじゃくる男の出現にただならぬ殺気を感じた妻は
いち早くその場から姿を消していた。
俺は悩んだ。浮気をしているとはいえ
血を分けた親子同然の妻。
そうだ!ひらめいた!
この3人に何食わぬ顔でばったり妻に会わせよう。
3人同時だとさすがの妻も誰を選ぶべきか迷いが生ずるに違いない。
そこで俺が鉄拳をふりかざしながら登場して
なぜ浮気がいけないことなのかをこんこんと説けば
妻もわかってくれることだろう。
しかし浮かんだ妙案をすぐに実行するには至らなかった。
なぜならそこに妻はいないから。
浮気に次ぐ浮気で疲れ果てたはずの妻にしては
逃げるだけの体力を残しているとは
用意周到なことだと敵ながらあっぱれだった。
見つけたらただちにお仕置きを実行する予定だ。