俺は気持ちを整理するためにぶらり旅に出た。
メールを見るのはいやになったので、
携帯はなげたから、妻とは連絡してない。
鈍行はみごとに各駅にとまり
俺の心を揺さぶるに至った。
このぶらり旅なので適当に降りてやった駅には
なにもなく、昼の3時だというのにすでに
今降りた電車が終電だった。
俺は駅員から切符をもぎとり
ぼとぼとぼと線路に向かって歩き出した。
56時間もあるいたか?
温泉街があったので、いまでもさんすけなバイトはおkか
きいて歩いた。従業員の浴衣に着替えて
お客の出迎えに入り口に並んだ俺は
信じられないものを目にしてしまった。
ロビーでフージョン占いが客にののしられていた。
しかしやはり日本は狭い。
そのうち妻ともばったり出会えるのではとうすらかに
希望の光が眼の眼前に繰り広げられてきだした。
本来ならばここでフージョンの胸倉をひっこぬいて
ててっい的にとっちめてやるところであったが
そろそろ俺もオトナのやり口に憧れる年頃
何食わぬ顔でフージョンの前に座った。
お客が若女将に告げ口で屈強な板前たちにそっと殴られた。
そこで俺に気付いたフージョンは荷物をまとめて
逃げ腰だったので、テーブルをかっぱがえし
腕をつかんだところで、ギクってきっくらせんきになった。
何事かと集まってきた野次馬をこいで逃げるフージョン。
きっくらせんきをかばいながら俺はひょいと手を伸ばして
ふーじょんを捕まえた。占いで妻を出せといったら
できなかったので、そっと殴ってやった。
これで二度とおまえと会うこともないだろう。
そう思った瞬間俺の目から涙が溢れた。
なまら悲しかったが、どこかで浮気の妻も捜そう。