結婚して今年で32年になる。私5○で妻が5○才。
最近妻の浮気を知った。なんと12年も前からだったた。その間私は騙され続
けていた間抜けな夫だったのだ。
妻は小柄でデブだし、身なりも地味で野暮ったいオバン。まさか妻に手を出
す男が存在するなんて思ってもいなかった。
でも現実に妻はその男の言いなりになっている。というよりも妻のほうが溺
れている様子だった。
そうと分かってみれば、妻が男を作った形跡はいくつもあった。結婚直後に
子供が生まれ、夜泣きが耐えられなくて寝室を別々にしている。私が催すと
一階に寝ている妻と子供達の部屋にしのんで行くという夫婦生活を続けてい
た。子供を起こしたくないので電気はつけず真っ暗闇の中でのセックスばか
りだった。それも18年ほど前に車を追突されて性欲がなくなりインポになっ
てからは、まったく妻の部屋を訪ねなくなってしまった。だから妻がどんな
格好で寝ているのか知らなかった。興味もなかった。
そんなもので、たまたまトイレの帰りに等価で風呂から出た妻の後ろ姿を目
にして、ネグリジェだと知っても私は何とも感じなかった。私なんかの若い
頃は女性はみなネグリジェだった。だから、ああネグリジェか。なんてもの
だった。しかし、そのネグリジェが妻の男からの指示によるものだったの
だ。パジャマしかない妻にネグリジェに変えさせていたのだった。
同時に下着も変えさせられてしまった。まだ妻とセックスがあった頃、どん
な下着を身に着けていたのか全く記憶はないが、それでも白か肌色のコット
ンのパンツだったように思う。私はそもそも女の下着なんかに関心がないか
ら記憶していないのだろうけれども。
私の居住する道北は冬は雪で洗濯物を外には出せない。必然的に室内に干す
ことになるのだが、ある日、妻の洗濯物の間に鮮やかな色彩を目にした。何
だろうと寄ってみると真っ赤なブラジャーとショーツ、そしてスリップが他
の衣類に挟まれて吊してあったのだ。そのときの私は「ふぅーん。なんか凄
いな」くらいしか感じなかった。今にして振り返れば、その時点で妻の異変
を感知して疑念をいだかなくてはならなかったのだろう。しかし女として魅
力なんか皆無で、あんな女に性欲を持つ男なんているわけがない。そう私は
信じ疑いすらしていなかったから、その深紅のランジェリと妻の浮気を結び
つけることは全くなかった。
性欲を喪失し勃起不全になってから私は女への興味関心がなくなってしまっ
たのだ。自分がそうだから妻もそうだ。いつのまにか私は思いこんでいたの
だった。【続く】