もういいと思った。いや、思わざるを得なかった。
妻はやはり浮気してました。浮気ですよ、浮気。
本気なら許してやれるのに。離婚でもなんでも応じてやれるのに。
ただ自分の性欲を満たす快楽のためだけに
数人の男と粘膜をこすり合わせて、嬌声を上げ
痴態を存分に振り撒いてきたあとで、家に帰ってきて
何食わぬ顔で嫁を演じ、妻を演じ、母を演じてきやがった。
女であり続け、一匹のメスであり続けたいのならば、
家庭など持とうとしなければいいのだ。
おまえさんはごめんなさいという言葉さえ発すれば
なにもかも帳消しになってくれると信じているようだが、
そうはいかのきんたま。
そういえば、烏賊に睾丸などあるものなのだろうか?
ま、あるんでしょうね、きっと。
でも、だんだん心配になってきました。
烏賊の世界にもおそらく浮気は存在するのでしょうが、
彼らはいかにしてその問題を解決するのだろうか?
やはり、弱肉強食の自然界、強いオスは子孫繁栄のため
より多くのメスと交尾するのであろうが、
烏賊にも心があったとするならば、愛するメス烏賊が横暴なオス烏賊に
無理やり陵辱されるのを、10本の足を咥えて見てるだけなんて・・。
考えただけで可哀想になってくるが、それが自然界の掟。
彼は身も張り裂けんばかりの想いを胸に秘め、今日も傍から見れば
元気そうに振舞いながら烏賊でありつづけるんですね。
でも、彼は虎視眈々と機会を窺っているはずです。
日夜、他烏賊の見ていないところで、彼女を取り戻すための
パワーアップのためのトレーニングに余念がないはずです。
もちろん、夫婦生活のほうもパワーアップしなければ
彼女は帰ってきてはくれません。月日は流れ、気がつけば
あの彼女を奪った横暴な烏賊よりもはるかに強くなっていました。
いかにも、いかなる苦難をも乗り越えてきた結果がそこにはありました。
憎い奴をコテンパンにして熨斗烏賊にしてやりました。
彼女は驚きと喜びのあまり非常な興奮状態に陥り、
それから三日三晩彼は寝かせてもらえませんでした。
毎日の激しい夫婦生活の結果、彼女はお腹に300匹のかわいい子供たちを
宿しました。そうなると今まで積極的だった彼女は触れられることすら
嫌になり、彼を拒み続けます。彼は面白くありません。
そう、ほんのガス抜きの遊びのつもりだったのです。
でも、彼の強さと絶倫さはここら一帯の烏賊達に知れ渡っていたのです。
最初に彼から彼女を奪い、後にのされてしまった烏賊の仲間たちは
この機会を逃すはずがありませんでした。正攻法で攻めても
彼に敵うわけないのはわかっています。そこで、メス投入による
腑抜けアンド夫婦仲をバッドエンド作戦に出ました。いかのきんたまが
パンパンに張ってそこらじゅうの穴という穴に突っ込みたい衝動を
抑えることだけで一日が過ぎてしまうという彼が、その作戦に
乗らないわけがありませんでした。そこで新しい浮気が大量に
発生することとなり、彼女に浮気された若い血気さかんな
オスイカ達は、打倒彼を目指し、日夜トレーニングに励み、
で、強くなった彼らがまた浮気を繰り返し、このようにして
浮気の連鎖はとどまることを知りません。
ちょっと話が烏賊のほうにそれてしまいましたが、
僕の言いたいことはだいたいわかっていただけたものと
確信しております。
ご静聴ありがとうございました。