数年前のことです。バツ一の妹と、同じくバツ一の友人を再婚させようと、妹には何も言わずに、二人を温泉に誘いました。前向きの友人に対し、妹は結婚はもうこりごりと、承知していませんでした。機会があれば妹を彼に抱かせ、既成事実を作って妹に結婚を承知させるつもりでした。
でも、突然二人だけで同じ部屋に寝かせるわけにもいかず、廊下でつながっている次の間に彼が一人で、広いほうの部屋に私が真ん中、左右に妹と女房、と別れて寝ました。やがて二人の寝息が聞こえてきます。そっと廊下に出て、彼を迎えにいきます。部屋を出るとき、振り返ると、二人とも、寝息をたて、熟睡しているようです。
友人の部屋へ潜り込み、左側が妹だ、と囁くと、友人は早速二人の寝ている部屋へ忍び込みました。やがて、友人の喘ぎ声が、気持ちよさそうに聞こえてきます。その合間に聞こえてくる秘めやかな喘ぎ声で、二人は互いに満足しあっていることが確信できました。
やがて二人の喘ぎ声が聞こえなくなり、友人が戻ってきました。Vサインです。念のため、抱いたのは左側だったろうな、と確認しました。友人は頷きながら、でも、見た目以上にふくよかな身体で、抱き心地満点だったよ、ぜひ妹さんとの結婚話を進めてくれ、と頭を下げてきました。承知して何食わぬ顔で部屋へ戻ります。
部屋へ入るとき、気が付きました。私が部屋を出るときに、左側に寝ていた妹は、部屋へ入る時に見ると、当然右側で寝ています。友人はたぶん、部屋に入って左側の蒲団に潜り込んだはず。彼が入ってそこに寝ていたのは、妹ではないのではないか。
妹も女房も、私が出るときと同じような寝息をたてています。妹と友人の結婚話は、中止しました。二人が結婚すれば、友人はその夜、誰を抱いたのかに気が付くでしょうから。女房は、いまも何もなかったように、貞淑な妻の役割を演じています。私もその夜何があったか、知らない振りをしています。