単身赴任と言っても一県となりですが一人暮らしを再び体験することになりました。
大学入った頃の思い出がフワーッと湧き上がり、何でもできる無敵感に心を躍らせました。
とは言え40になって流石にオールはできない。
飯だって濃い物を夜中に食べれば色々ヤバい。
なら「女だ!」
と短期の愛人探しの活動を開始しました。
自宅の嫁さんは良い女ではあるものの、私の優先度は低くレスに近い状態に息が詰まっていた。
まぁなんせまだまだ毎日でもセックスがしたいくらいなので嫁も付き合いきれないという始末。
でも風俗は色んな意味でイヤらしい。
そんな中に出た辞令。
知らない土地で誰も私の事を知らないのだからキャラ作りから始めた。
そして遂に見つけた。
夜食を買いに毎日行くスーパーの店員さん。
大手チェーンではなく、規模の小さい周辺住民しか行かない様なローカルスーパーでバイトする女子大生さん。
いつも油物ばかり買うから覚えてくれてて、「たまには和食とか食べないとダメですよ〜」と話しかけてくれる様になった。
「この辺りは初めて住むから全然食べもの屋さんを知らないから良いとこあったら教えて」的な事を言ってみた。
オススメを1軒教えてもらい行っては報告。
また教えてもらい報告。
それを数回繰り返して、向こうから「私も余裕があれば行きたいんですよ〜」と呟いてきた。
そうなれば誘わぬ男はいない。
とは言え40のオッサンが20前後の女を誘うのは相当なハードルがある。
セクハラなど細心の注意を払い誘ったら、あっさり「え!いいんですか!?なら一番好きなウナギで(笑)」と乗り気だった。
次の土曜の午前に待ち合わせ、レンタカーを借りてちょっと離れた鰻屋に。
もう父親と娘の雰囲気を出しまくりながらデートは終わった。
そしてまた日常。
しかし確実に会話は増えたし何故か食事にも付き合ってくれる。
そんなこんなで半年経った。
また鰻屋に行き、午後はドライブスポットに行く事になっていた。
本格なデートはこの日が初めて。
この女子大生はなかなかのオヤジキラーだった。ノリが良くてハッキリ物を言う。だから感情が汲み取りやすく会話がコントロールしやすい。
冗談もイヤな顔せずツッコんでくれる。
だから「ウナギパワーでメッチャ元気だわ!アソコが(笑)」と言えば「それは残念ですね〜。既婚者じゃなければワンチャンあったのに〜。」と返してくる。
これイケるくない?
そのまま夕方になり楽しい雰囲気のまま解散の時間は近づいた。
まぁまた次があるさと送って帰る気でいたら「よく半年も奥さんと会わずに我慢できますね〜?」と聞いてきた。
「どゆこと?」と聞き返すと
「いや、夫婦の営み的な?のずっとしてないわけですよね?ムラムラしません?」
「そりゃするけど…したらしたでアカンしなぁ。しゃーないっすわ。」
「いや(笑)この流れ、私で良ければヤレますよ(笑)完全にイケるパターンでしょ!ノーリスクで女子大生とヤレますよ(笑)」
「マジでか!」
「いや、どんだけ鈍いんですか(笑)何なら4回目の時からいけましたよ!もう10回になりましたけど。」
「オッサンだから色々注意はしてるんだよ!ハードル高いんだわ(笑)」
「なら良いから誘ってくださいよ。なんなら家に行きましょうか?」
「え!?なにヤル気満々なわけ?」
「正直ヤル気ですよ!もう泊まり覚悟で(笑)」
いつの間にか私の事を好いてくれていたらしく、妻子がいる事も踏まえた上で男一人の環境を案じてくれていたみたい。
それから次の日まで私のアパートで夕方まで半裸で2人過ごし、平日は彼女が通ってくれて思う存分受け止めてくれた。
料理も得意で健康に気を遣ったメニューで振る舞ってくれ、申し分ないほどの生活を送っていた。
いつか離れる時が来るのかと、辞令に怯えながら3年が経ったころに、あっという間に全てが終わった。
彼女は実家に帰省中に心筋梗塞で亡くなった。
私に連絡が来たのは、唯一電話の履歴が埋まっていたから。
しかしご両親に自分のことが知られると、大事な娘をたぶらかしていたと思われる気がして「ただのバイト先の上司です。娘さんからよくシフトの事や大学の予定を報告してもらってましたから。」と言った。
葬儀は親族のみで、ご両親が後日彼女の荷物を引き取りに来たのでお会いして出来る限りの香典を出した。断られたけど無理にでも受け取ってもらい、私も退職して地元に戻ると嘘をついて今後会うことがない様にした。
彼女は友達も彼氏もいなかったらしい。
大学でも馴染めないと悩んでいたそうだが、バイトを初めて色んな人と話せる様になって楽しいと言っていたそうだ。
これは神様が私の不貞行為を罰したのではとすら考えてしまうくらい打ちのめされた。
単身赴任が終わり、自宅に帰ってもポッカリ穴が空いたままだった。