結婚して二十年の私達夫婦には子供がいません。
その分生活はそれなりに楽に暮らせてきたし、子供が欲しい時期もありましたが、考え方次第ではこれはこれで悪い結婚生活ではないと、互いに割りきって暮らしています。
犬もいますし、せっかく建てた家もあるしで、主人の転勤が決まった時も家に残る事になりました。
観光地ではないけど自然豊かな良い土地に越す主人も別荘ができたと思えばとお気楽モードでした。長い人生こういう時期があってもいいよね…と。
互いに自分の人生は大切に生きてきたし、価値観も似てたから生活を共にするパートナーとしては何の不満もなく順風満帆でした。
子供もいないし夫婦の夜の生活も定期的にそこそこ。
でも、今回の主人の単身赴任で人格と性癖は別物なんだと思い知りました。
元々几帳面だし手がかからない主人ではありますが、日持ちする物などを作っては届けたりはします。
車で二三時間ほどの距離なのでちょうどいいドライブだったりして、行くのも億劫ではない。温泉入れる所もたくさんありますし。
その時も前日に予告してから行きました。
近くの大型スーパーで大量の買い物をして行ったが、日用品は何が必要かわからないので、いったんマンションに行ってから出直してもいいなあなんてのんきに構えてたら、とてもそんな悠長な事を言ってる場合じゃない事態に陥った。
相変わらず綺麗にしてますねえ…
部屋に入ると室内を見渡し、ベランダの窓を開けて風を入れた。
山が近いからか少しひんやりしてるような気がするが気持ちいい。
ベランダには円錐形の銀の灰皿が置いてあった。
主人は日に3~4本くらいしか吸わないし部屋で吸わないので止めろと言った事はない。
医者にもその程度ならかえってストレス解消になり、勧めはしないがやめなくてもいいと言われたそうだ。
確かに景色も良く、ベランダに出て一服するのは吸わない人間からしても良さげな感はある。
なかなか情緒のある人なのである。
コジャレた椅子や小さなテーブルもあった。あとゴミ箱。
これは缶コーヒーの缶専用にしているみたいでした。
吸い殻はほとんど変える必要がなかったけど、空き缶はそれなりに入っていた。
うちの缶回収があさってなのを思い出し、どうせなら持って帰ろうか…
とゴミ箱からビニールを持ち上げると下に段ボールが敷いてあった…?
深い意味はなかったが、段ボールの端をチラッとめくると、小型のアタッシュケースが入っている…?
ジュラルミンの小さいやつで、ちょうどCDが入るくらいのサイズ。
鍵は付いてないがなかなかオシャレでかわいいデザイン。
主人は自分の持ち物には気に入った物を使いたがる人なので、主人のだろうとは当然思ったが、こんなところにある理由がわからなかった。
開けてみると、やはりCDケースが入っていて、ディスクが20枚くらい入っていた。
私はそこで合点がいった。
アダルトものなんだろうと。
でも、パッケージもないし市販のものではないよう。
分類は主人らしくされていて、主人にはわかると思われる英数字の書いたシールが貼られていた。
別にアダルトビデオなどを見るのはかまわない。
でも、パッケージなどがなく中身がわからないぶん、どんなのを観てるのか興味をひかれた。
凝った隠し方をしてるだけに余計だった。
まだ、主人が帰ってくるまでかなり時間もあるし、ちょっと観てみようか…?
それがちょっとどころですまなくなるとは、この時は夢にも思いませんでした。
だって、主演が、というか男優が主人なんですもの。(笑)
最初に入れたディスクは新し目の映像なのかまさにこの部屋で、ちょうどベッドで橫ゆになりキスする場面から始まる。
主人はすでに全裸で、相手はバスタオルを巻いていたが、すぐに剥ぎ取られ全裸になる。
これが、私くらいの年齢の女や若くてもせいぜい二十代前半とかなら衝撃も半分ですんだでしょう。
でも、その相手はあきらかに十代!
しかも、どうみても前半と思われた。
それを証明するかのように、画面の端には吊るされたセーラー服が映っている。
高校生にも見えない、たぶん中学生。
二つに結わいた髪型や華奢な体つきからしても間違いないでしょう。
二人が初めて体を重ねる訳ではないのは見ていてもわかった。
まだ幼さの残る少女はいっぱしに主人の背中に腕を回してしがみついて悶えている。
「先生…先生…」
と、しっかり声が聞こえた。
そう、主人は塾の講師をしている。
私はすっかり映像に釘付けになってしまった。
そこには私がしらない主人がいた。
情熱的で激しくてたくましさすら感じた。
結局、そのディスクはその時の逢瀬だけの収録だったが、二人はひたすら絡み合い、しまった。主人は三回は射精していた。
中でこそ射精はしてないようだったが、顔にかけたり口の中で出したり。
私とだってしたことない体位など、二人はすっかり息のあった連係プレイを見せていた。
私は気づくと下着が濡れていたが、主人が生徒とセックスしている事実に心底驚いて呆然となっていた。
あんまり年下好きには見えなかったし、それこそロリコンだなんて想像したこともなかった。
でも、尋常じゃない衝撃でも、別れるとかは全く考えてなく、つまり不快さは不思議となかったんです。
驚いたけど。
相手の年齢からいって主人も結婚したいとかは考えていないでしょう。
ただ、セックスの対象として愛しているのだと…
そう考えると、二十代後半くらいの相手とかみたいな、別れ話に発展する可能性がある相手じゃないぶん落ち着いていられた。
それにあんなに長く暮らしても気づかなかった主人の性癖に興奮もしていた。
人が真剣に隠そうとする事だけに、余計にいやらしく見えた。
オス丸出しの主人も、称賛したくはないがセックスアピールがあってセクシーにも見えてしまった。
単身赴任の男は必要以上にモテるというし、主人にはその手の出会いには困らない。
このディスクの束は主人の戦歴だったのか…
とりあえず私は気づいてないふりを続けるが、時間はかかっても全てをチェックしないとと思って、ジュラルミンケースをきちんと元に戻した。