還暦も見えて、定年までのカウントダウンが始まった俺は、先日、懐かしい街に出張があった。
そこは、7年前に3年間だけ単身赴任していたことがある東北地方の街だった。
それは、震災後の応援のためだったが、元々東北の出だった俺に白羽の矢が立ったのだ。
単身赴任になった理由は、下の子がまだ高校生だったことと、赴任先が元妻の故郷だったことで、妻を連れて行くのには抵抗があったからだ。
元妻と別れたのは今から27年前だから、7年前は、20年ぶりに訪れた街だった。
元妻と結婚して5年過ぎても子供が出来なかった。
病院で確認すればいいのだが、どちらに原因があろうとも辛い結果になるから、原因者を特定せずに離婚する道を選んだ。
それは元妻からの提案だったから、おそらく、元妻は自分で検査して、自分が不妊だと分かった上で離婚を決意したのだと思った。
元妻は、そういう女だった。
俺は、子供なんか要らないと言ったが、元妻や義父母がは頑なに別れを選んだ。
それは間違いなく、元妻に原因があることをみんなで知っていたからだと思った。
泣きながらした夫婦最後のセックス、元妻の美しい裸身は忘れられなかった。
お淑やかで和風の顔立ちの元妻が俺にしがみつき、腰をくねらせ、最後の精液をねだった。
切なくも艶めかしい元妻の嬌態は永遠の思い出だ。
しかも、俺は離婚後病院に行って、案の定、俺は正常だったことを知ったのだ。
俺は、元妻を想い、泣いた…
その元妻の故郷に単身赴任したのは10年前、震災の爪痕が残る街の駅にひとり降り立った。
お盆の頃、毎年元妻の実家を訪ねて、暑い東北の盆地ので元義父母や義兄夫婦や甥っ子姪っ子たちと楽しく過ごした思い出が蘇った。
新幹線を降り、単線のローカル私鉄で数駅、支社の寮になっているアパートへ着いた。
単身パックの荷物が届いてて、必要最小限の生活必需品を並べた。
懐かしい街だったが、元妻の実家を訪ねるようなことはしなかった。
元義父母は健在かどうかも怪しいし、元義兄夫婦が住んでいるのだろうが、別れて20年の元義体に会っても仕方がないと思った。
元妻は元気だろうか、どんな暮らしをしているのだろうか、気になったが、何もできなかった。
20年の時間の経過は、何も洗い流してはいなかった。
単身赴任とはいえ、月に2回は帰宅していた。
新幹線を使えばドアツードアで片道3時間、金曜の夜に支社から直接変えれば9時には帰宅できたし、月2回のうち1回は月曜日に休暇を取って、家に3泊して、子供たちが出かけてからじっくりと妻を抱いた。
8歳年下の可愛い妻の可愛いマンコを広げてじっくりと舐め尽くし、子供たちがいないから遠慮なくヨガらせて、一度クリでイカせてからチンポでマンコを味わった。
妻と街に出てランチして、少しぶらついた後、妻に見送られながら駅を後にした。
「じゃあ、また帰ってくるからな…」
手を振って別れた。
赴任して半年の頃、職場で飲み会があった帰り、昔、元義父や元義兄と飲み歩いた通りを歩いてみた。
そしたら、20年前に何度か入ったことがあるカラオケスナックがまだあって、懐かしくて入ってみた。
「いらっしゃい…」
とりあえずカウンターに座り、ビールを頼んだ。
和風な顔立ちのお淑やかなママだなあ…とチラ見していたが、あれっと思って見直すと、お互い見つめ合う形になり、あっ!と言う表情で、20年前に別れた夫婦の再会と気づいた。
でも、ほかに客もいたし、チーママもいたから、単なる客を装った。
俺は、帰宅しない金曜の夜と、祭日の前日には元妻がいる店を訪れるようになった。
そして、退社後真っ先に行くと他に客もいないし、混み始めてから来るチーママもいなくて元妻と二人になれたから、いろいろ話をした。
俺は再婚して子供が2人いること、そしてそれは元妻のおかげだということを話し、感謝した。
元妻はバツイチ子持ちの後妻になったが、DV男で数年で離婚、その後は独りだった。
元義父は亡くなり、元義母は実家で兄夫婦と暮らしているとのことだった。
俺は、元妻と会うひと時が楽しかった。
いつまでも続くわけじゃないのはお互いに理解していたが、でも、やっぱり単身赴任が終わるときは、元妻との別れが寂しかった。
元妻に、本社へ戻ることを話すと、
「そう…お戻りになるのね。寂しくなるわ…」
と言うと、チーママが、
「吾妻さんとママって、なんだかいい雰囲気でしたね。なんていうか、古い知り合いみたいで、最小限の会話ですべて伝わってるみたいな、阿吽の呼吸が感じられたんだ。」
やっぱり、20年前に5年間夫婦だったことは、自然に周りに伝わったようだった。
帰りに、いつものようにお釣りはいらないというと、この日はなぜか無理にでもお釣りを渡そうとしたから、素直に受け取った。
するとそこに携帯の電話番号があった。
俺は、翌日の土曜の午後1時半頃、かけてみた。
すると元妻が出て、俺が本社へ戻るまでn一度でいいから二人で会いたいと言った。
俺は、店が休みの日曜日、会う約束をした。
懐かしい街で、懐かしい元妻と歩いた。
夫婦だった頃の記憶が蘇り、切ない恋心も蘇ってきた。
一緒にランチをしたあと、ラブホに繋がる路地の前で、堪えきれずに元妻の手を取って路地に入った。