単身赴任あれこれ

あれほど苦痛で、外で処理して下さいとまでお願いしたものの、実際に主人が
単身赴任するとなると、あれほど性欲の激しい主人が一人で生きていけるのか
心配で仕方がありませんでした。

赴任先は電車で3時間弱の所でしたので、週末には洗濯物を旅行バックに一杯
詰めて帰って着ましたが、さすがに土曜の早朝赴任先を出てこちらにつく頃に
は主人もぐったり、帰宅するものの私を求めてきたのは初めの数週間だけで、
その後は別人になったように私を求めなくなりました。
洗濯物も赴任先に洗濯機を購入するようになり、洗濯物を持って帰って来るこ
ともなくなりましたが、それと同時に帰宅の回数も毎週から徐々に月に１度に
なり3ヶ月に一度になってきました。

それでも体力的にも精神的にも疲れ切っていた私は主人がいないことにしばら
くは安らぎさえ覚えていました。

単身赴任が始まり半年以上が経ち、私の体調も回復し、周りの人から顔色が良
くなったねとか、ちょっとぽっちゃりしたねとか言われるようになりました。
主人のことを世話をする余裕も少し出てきたので、週に2度ぐらいは洗濯や料
理のために赴任先に行こうと思い主人に電話をしたのですが、あまり乗る気で
はないようでした。

それでも次の土曜日に行くことにしたのですが、想像以上に部屋は片付けられ
ていて、洗濯物も籠にはなく、すべてタンスの中にたたんでしまわれていまし
た。結婚前、一人で暮らしていた主人ですので簡単な炊事洗濯は出来るとは
思っていましたが、予想を遥かに超えるものでした。

昼でも作ろうとすると、主人は冷凍庫から真空パックした料理済みのものを取
り出し電子レンジで解凍し私と二人分を用意してくれました。私のやることは
全くありませんでした。暇なときに料理しておくんだよと笑みを浮かべながら
得意げに話をする主人ですが、それを食べると多分主人が作ったんじゃないな
と感じさせる何かがありました。

主人は何かを取り繕うかのように益々得意げに作り方を説明しますが、聞いて
いるうちにキッチンに立ち作っている人の姿がうかんでくるような気持ちに
なってきました。
別に現地妻（大げさな言い方ですね）が出来たと疑っているわけじゃありませ
ん。それに、ぱっと見ただけでは女性を匂わすものはなにも部屋にはありませ
ん。でも、単身赴任の男の部屋とは感じられないようなやわらかい雰囲気が部
屋には漂っていました。あの野獣のように私を求めてきた主人が一人で住んで
いる部屋とは信じられない雰囲気でした。

食事を終えると、数年前福岡で一緒に働いていた田中さんが休日出勤してるか
ら、久しぶりに会わないかと言われ事務所に行くことになりました。
マンションを出ると１キロぐらい先に会社の看板が見えます。ふざけて、私が
いないんだからこんなに近い所にマンション借りなくても、もっと駅から離れ
てれば安く借りられたのにと言うと、主人も笑いながらそうだね、どうも癖で
同じようなマンションを借りてしまったと答えてきます。

事務所につくと同じように単身赴任している田中さんの奥さんがお弁当を作っ
てきて二人で食べているところでした。短い転勤の中で田中さんの奥さんは数
少ない友達でした。久しぶり会い積もる話に花が咲き、気がつくと既に3時、
体力も回復し、久しぶりに主人に優しく抱いてほしいと思っていたのですが、
明日娘の用事がありその日は帰らなくてはいけません。

マンションに荷物を取りに行きましたが電車に乗る時間まであまり時間もな
く、上がることなく帰ることにし、主人にかばんと使わなくなった主人の服が
入っている袋を玄関まで取ってきてもらいました。その日は手もつなぎません
でした。せめてキスぐらいと荷物を持って来てくれた主人の首に腕をかけキス
をしようとすると、さりげなくかわされてしまいました。

腕を離される時間が非常に長く感じ、その間、何が主人に起きたんだろうと考
えていました。目は定まらず、ボーっとキッチンの方の床を見ていました。
あれ、割れたお皿がビニールに包まれえ床に置かれている。？　さっきお昼に
使った時のお皿でありことは確かです。でも、主人は家を出るときシンクの中
にお皿を置いただけで家を出たはず。

なぜか、腕が彼から離れた瞬間、ごめんねとと言っていました。