公衆浴場での密かな楽しみ

昭和の面影を伝える昔ながらの公衆浴場を、夫婦で定期的に利用している。
今時のスーパー銭湯では味わえない、浴槽の熱めの湯と静かでレトロな雰囲気を妻も私も気に入っているからだが、私にはもうひとつ秘めた楽しみがある。

私たち夫婦が利用する時間帯、番台には年輩のオヤジが座っていることが多い。
オヤジの様子を観察すると、番台から女湯の方をジッと見ている。
老人とて男であることに変わりはなく、妻の裸を他の男に見られていることに異様な興奮を覚える。
初めて利用した日、妻は店から出て来るなり「イヤだったー」と顔を顰めていたが、今では「お爺さんだから、見られても別にいいよ」と気にする様子もない。

40代の妻は美形で胸が大きく括れもあって、10歳以上若く見られることもある。
女湯を利用しているのはお年寄りばかりだそうで、仕事柄、女性客の裸を見慣れたオヤジにとっても妻は「掃き溜めに鶴」なのだろう。
認知症の予防に役立つ適度な刺激と興奮、楽しみのようなものを定期的に得られるせいか、以前に比べてオヤジの顔色がツヤツヤしてきた。

近頃は番台から見ているだけでは物足りないのか、浴槽の温度調節を口実に女湯の洗い場に入って来ては妻をジッと見るというから、オヤジの「職権濫用」もいよいよエスカレートしてきたようだ。
無論見るだけで、妻のカラダに指一本触れるわけではない。
それでも利用するたびに、隣の女湯で「全裸の素人女を着衣の老人が視姦する」というAVのような場面が、今まさに展開されているのかと思うと勃起しそうになる。
また自宅で妻を抱くときも、オヤジが脱衣場や洗い場で全裸の妻をジッと見ている様子を想像してしまう。