あなたに最後に会ったのは、もう11年前、離婚してから4年のことでした。
東北出身のあなたは、関西の大学を出て関西に就職、私と出会って結婚したけど、コテコテの関西人だった私の両親と合わなくて、3年で破綻してしまいました。
「ワレから出ていくんや。二度と敷居跨ぐなや。」
と言われ、
「息子をよろしく頼む。」
と言って、出ていったあなたのうなだれた後ろ姿を、切なく見送りました。
嫌いになって別れたわけではなかったから、別れた後もずっとあなたが好きなままでした。
11年前、別れて4年ぶりにあなたから来たメールにときめいて、会いに行きました。
「故郷、震災で酷いんだ。復興に人手が要るんだ。俺、故郷に帰るよ。」
「もう、会えないのね・・・」
「今までだって、会えてなかったじゃないか。」
「そうだけど・・・」
この日、最後にあなたに抱いてもらいました。
あの夜のことは、忘れられません。
丁寧な愛撫、愛情のこもったクンニリングス、私も、あなたをフェラチオするとき、心から愛情を込めました。
生のまま一つになったとき、溢れる愛に蕩けていきました。
私にはあなたしかいない、あなたが私の全てだと心から思えました。
あなたの刻む律動に、私の胸が揺れ、次第に意識が遠のいていく中、
「中に、中に出して・・・」
と言いましたが、意識が戻ると、あなたは私の身体に出した精液をティッシュで拭っていました。
「あなたの子供、もう一人欲しかったな・・・」
「馬鹿なことを言うな・・・でも、最後、抱かせてくれてありがとう。」
ホテルを出て、居酒屋で別れの杯を交わしました。
「さよなら。元気でな。」
「あなたもね。さよなら・・・」
去り行くあなたの姿が見えなくなるまで、見送りました。
あれから11年、遥か東北の彼方から、私宛に手紙が届きました。
短い手紙はあなたの妹さんからで、あなたの訃報と、息子への遺産についてでした。
あなたが亡くなった・・・手紙に涙がポトポトと落ちる音で我に返り、そして、手紙を胸に抱きながら膝から崩れ落ちました。
別れたとき1歳だった息子への遺産は、辞退しました。
昨夜、あなたと別れの杯を交わした居酒屋へ行ってきました。
最後にあなたと並んで呑んだカウンターに座って、あなたの分も杯をもらって?みました。
11年前に使っていたガラケーを充電して、残っていたあなたの写真を見つめながら、天国に旅立つあなたと最後の杯を交わしました。
さよなら、あなた・・・
ありがとう、あなた・・・