懐かしい温泉街にやってきた。
新幹線を降りて、二両編成のローカル私鉄に乗って、川の辺の終着駅がその温泉街。
結婚する前、二人で来た温泉旅行は福引の景品だったっけなあ。
貸し切りの露天風呂で若い二人がイチャイチャして、治まりがつかなくなっちゃって、生で挿入したら気持ち良くて、俺は足がガクガク、あいつは声を押し殺して、凄かったなあ。
でも、のぼせてきたし、他の客も使う露天風呂に射精するのも気が引けたから、一度部屋に戻って再開したのを覚えてる。
ちゃんとスキン付けて、シッポリと愛し合ったっけ。
メシ食って、酒飲んで、仲居さんが片付けた後、浴衣脱がせて愛撫したらあいつもチンコ握ってきて、二発目、部屋の風呂入って洗いっこしてたらまた起って、もう一度布団で三発目。
旅館のバーで軽く飲んできて、寝る前に読ん発目をぶっ放したけど、若かったなあ。
翌朝、朝食後に着替えてるところ見たらムラムラしてきて、チェックアウトまでまだ時間があったから、陽の光の中、窓際で立ちバック、あれ、向こう側のホテルから見えてたと思うな。
少し温泉地を観光して、新幹線の駅がある駅ビルで昼メシ食って、帰ってきたんだよね。
もう、30年も昔のことなんだなあ…
あの時泊まった旅館がどれだったかさえ、覚えてないや。
今回は仕事で近くまで来たから、あいつとの思い出の地を巡る感じでやってきた。
本当なら、あいつと一緒に二人で来れたなら、もっと楽しかったんだろうけど、あいつ、三年前に死んじまったからなあ。
温泉街、閉館してる宿が結構あったよ。
30年前より寂れた感じがしたのは、そのせいかな。
あいつともう一度歩きたかったこの石畳の坂道も、今は独り…
「あんた…待っておくれよ…」
えっ?って振り向いたら、知らない老夫婦だった。
一瞬だけ、あいつと一緒に居る気分になった…