慣れ親しんだ夫婦のセックスは、とても淫らで、美しいなどということはありません。
私も妻も、お互いの性器を舐め合いますが、そこは排泄するところです。
そんなところを舐め合って、感じてアヘアヘしているのです。
汗と唾液と我慢汁と愛液にまみれ、尿道付近を舐め合います。
そして、私と妻がへばりついて、性器を結合して、乳繰り合いながら淫らに喘ぐのです。
男のセックスは、排泄に似ています。
溜まったから出したいという、排泄欲を満たすに似ています。
そして、女は男に排泄されて悦びます。
身を捩って、乳房を揺らして悦びます。
それは淫臭を放って羞恥にまみれ、とても他所様に見せられない不潔な行為です。
夫婦でない男女のセックスは、不謹慎な行為と見られがちです。
でも、夫婦は愛の名のもとに、夫婦愛を確かめ合う行為として美化しているのです。
そしてこの破廉恥な行為が、夫婦では推奨されるのです。
なぜでしょう?
それは、夫婦が子孫を残すための、生殖行為だからです。
夫婦が、愛の結晶を残すために行う行為だからこそ、神聖になるのです。
私たち夫婦は、五年の夫婦生活にピリオドを打つことにしました。
どうやら、私の精子が遺伝子異常で、妻を妊娠させることができないと分かったのです。
私も妻も愛し合っていますが、妻は一人っ子、妻に子供が出来なければ、妻の家系が途絶えてしまいます。
一方、私には兄がいて、子供が二人いますから家系は途絶えないのです。
妻とは、何度も話し合いました。
そして、やっと妻も別れに納得してくれました。
「私のため・・・なんだね・・・」
両手を膝について、俯いて泣いていました。
義父母には、私の浮気が原因と伝えました。
妻を裏切った以上、ケジメをつけるために離婚すると言いました。
優しい義父母は、本当の理由を話せば、引き留めるでしょう。
私が憎まれれば、全てが上手くいくのです。
私32歳、妻29歳、出会って7年、夫婦で5年、間もなく赤の他人になります。
妻は実家へ、私は、夫婦の思い出がありすぎるこのアパートを出て、新しいアパートに行きます。
お別れのカウントダウンが始まりました。
もうすぐやってくる夫婦最後の夜は、たっぷりと妻の中に射精しようと思います。
そして、私はいずれこの街を去り、風の便りも届かないくらい遠くに離れて、妻の前から綺麗に消息を絶つつもりです。
浮気して離婚したことになっているので、故郷に帰るわけにもいかないから、遠くの街で新しい仕事を見つけて、ひとり静かに暮らそうと思います。
間もなく、みんなと、さようならです・・・