俺、あまりにも元妻が好きすぎて、離婚になった。
元妻を大切に思うあまり、元妻の処女膜をぶち破った男が憎かった。
人生でたった一度きり、一生の思い出の処女喪失の相手が、夫である俺じゃないことが我慢できなかった。
まだウブだった元妻に、無遠慮に肉棒をブチ込み、容赦なく精液を放出した男が憎かった。
元妻の処女膜を破り、子づくり行為をしておきながら、ポイ捨てした男が憎かった。
綺麗な身体で俺のところへ来るはずだった元妻は、知らない男に辱められて蹂躙され、汚された挙句捨てられ、散々使い古されて俺のところへやってきたと思ったら、たまらなかった。
そんな気持ちは、元妻に伝わっていった。
直接口にしなかったが、寝言で何か言ったようだった。
「そんなに私が汚いなら、もっと若いお嬢さん貰えばよかったじゃない。」
そう言われて、何も言い返せなかった俺に、
「私、あなたの子供産む気にはなれない・・・本当の気持ち、分かっちゃったから・・・」
結婚生活は、わずか1年半で終わった・・・
新しい恋をした。
再婚することになった。
相手は7歳年下の27歳、離婚して4年での再婚だ。
俺は、元妻との離婚のいきさつを彼女に話した。
彼女もまた非処女だったが、優しく笑って、
「最低ね。でも、元奥さんだって、全く気にしていなかったわけじゃないと思うよ。初めてをあげられなくてごめんって、心のどこかで思ってたはずだよ。」
と言われた。
彼女と再婚するにあたり、引っ越しの準備を始めた。
そしたら、2年前の正月に元妻から届いた年賀状が出てきた。
あけましておめでとうございます。
お元気ですか。
ちゃんと生活できていますか。
離婚して二年ですね。
いつまでも若くはないのですから、ご自愛くださいね。
私、再婚して渡米することになりました。
多分、もう、日本には戻りません。
遠くから、あなたの幸せをお祈りします。
さようなら。
2年前、この年賀状を見て涙を流したことを思い出した。
でも、この年賀状をきっかけに、元妻を諦めて前に進めた。
今思えば、俺の性格を知っていた元妻が、俺を前を向かせるために書いた年賀状だったんじゃないかって思った。
元妻の愛を感じて、2年前とは違う涙が溢れた。
「さよなら。ありがとう・・・」
そう言って、元妻への思いを断ち切るように、新しい生活に不要な元妻の年賀状を捨てた。
ごみ箱に横たわった年賀状を見て、辛くなってもう一度取り出し、シュレッダーにかけて存在を消した。
寂しさの中、思い出が一つ消えたような気がした。