2020年7月1日昨日の話だった。俺たち断酒男一家3人、そして俺の両親2人。そして俺の兄貴夫婦3人の計8人で、約1年ぶりに会食なるものをやってきた。どこにでもある家族の集まり。夜19時くらいにちょっと高級なレストランを予約し、それから食べて飲んでをするのであるが、俺にとっては断酒してから初めての「酒の現場」でもあったのだ。飲まなかったのは俺と綾、そして当然のように子供たち。他の者は全員酒を飲んでいた。この時ばかりは久しぶりに強い飲酒欲求が沸き起こってきたが、料理が出てきた序盤出から暴食作戦。腹をメシと炭酸水で見たさえれば、それ以上の飲酒欲求は湧いてこない。それはそれで結果オーライだった。だが、俺はふとした事を思い出したんだ。楽しい会食の場で、一切言葉を交わすことのない二人がいることに。断酒男一家。そして両親。そして兄貴。この俺の家の系列の家族には、「暗黙のタブー」というものが存在していたのを思い出したんだ。この際、結論から言おう。実は綾は、もともと俺の兄貴の彼女でもあったんだよな。俺の兄貴は俺より2コ上、俺が22の時には既に24歳の兄貴は綾と付き合っていた。付き合ったきっかけの詳細まではよく知らない。兄貴が正社員で働きだしたのはもっと後のことなので、きっと当時働いていたバイトで知り合って、それから付き合い始めたんだと思う。それは間違いないと思う。その時の俺が感じていた事は、当時は兄貴も俺も実家暮らしをしており、(また来てんのか。よくもこう週末になれば毎度のように彼女を連れてくるな)と思っていたのを覚えている。当時の実家っていうのは木造の平屋建てであり、俺と兄貴の部屋は薄い壁一枚で隣接している構造となっていた。毎回、週末になると玄関のほうから「こんにちはー。おじゃましまーす」と細い綾の声がして、トントンと階段の音がすると、それから隣の部屋でいろいろ盛り上がっている光景を(うるせーな。。眠れないだろ)と思った事も何度もあった。そして、当時は兄貴も24歳。綾の年齢も大かた想像できると思う。若かった二人は、夜になればセックスというものをやっていた。むろん22歳の俺も、いくら兄貴が彼女とヤっている光景といえどそれに関しては興味津々であり、それから薄い壁に耳を当てて、部屋の向こうから聞こえてくる音声をドキドキしながら聞いている事もあった。だが、半年くらい出入りした後、急にばったりと綾は来なくなった。そりゃ、そうだろ。別れたんだから。特に俺は兄貴と綾が分かれた事に、弟としての立場上、どうこうという事もなかったし、なんら関心がなかったんだが・・・。それからしばらくして、兄貴は実家を出て定職につき今の奥さんと結婚前提での付き合いを開始。俺も大学を卒業し、地元の中小企業で働き始めたそんな頃、俺は地元の駅でバッタリと綾と会ってしまったんだ。もちろん俺の頭の中には(兄貴の元カノ)というのがあるので、これといって社交辞令程度にしか挨拶しなかった。もちろんそれは綾も同じ。だが、似たような時間に仕事で同じ駅を使うので、それから何度も駅でバッタリ会うようになり、少しずつ、仕事の事やプライベートの事まで会話が広がっていった。自然と会話が進んでいくという意味ではもともと俺たちは相性はよかったんだと思う。俺はその時の綾のおしとやかな印象を悪く思っていなかったし、綾も綾で俺の事をどう思っていたのかは知らないが、何かと気遣ってくれる存在くらいに思ってくれていたのかもしれない。それから当時、若くて勢いもあった俺は、いくら兄貴の元カノとは言えども、綾に対して真剣に惚れ始めている自分がいる正直な気持ちを封じ込める事は出来なかった。それからダメ元で何度かアプローチを掛けてみたが、当然のごとく「気持ちはうれしい。でも節操のない女だと思われるから付き合う事は出来ないよ・・・」との返事であった。それから俺は1年かけて綾を説得。そして最終的には俺の
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