リストラされて、元嫁と息子と別れてから10年になる。
安い中古物件を買ってリフォームして、慎ましく暮らしてたが、家のローンも焦げ付く有様で、土地建物を売って少しでも借金を減らしてもなお残る借金から、元妻と息子を守るために、離婚を選んだんだ。
荷物と息子を元嫁の実家へ送り届け、俺と元嫁は最後のセックスをして、別れた。
結婚してちょうど10年、馴染んだ女体を誠心誠意愛撫して、ふやけるほどマンコを舐めたよ。
もう、二dと舐めることのない愛しいマンコを記憶に刻み込み、最後の愛液を味わい、最後の結合を舌を絡めたキスをしながら感じ合った。
見つめ合い、涙ぐむ元嫁に最後の精液を振り掛けた。
元嫁、その精液を指ですくって、匂いを嗅いで、
「もう、これが最後なんだね…」
って言ったんだ。
家を出て、深々と頭を下げた元嫁は、
「あなた…どうか、お元気で…お世話になりました。さよなら…」
そういって背を向けたら、二度と振り返ることなく去っていった。
あの元嫁の背中は、今も忘れられない。
あれから10年、元嫁と暮らした時間と、並んだ…
俺は48歳になっているが、あの家を売ってからあの街を遠く離れ、ずっとひとりで生きている。
働きながら資格を取り、借金は4年前に返し終え、今は経済的にも自立してる。
元嫁と息子が戻ってきても、養えるだけの経済力もある。
資格を取ってから、かなり飛躍できた。
でも、家族を持とうとは思わなかった。
残念ながら、元嫁を忘れ去ることができなくて、元嫁以外と家族になれないでいた。
元嫁とは、恋人時代を含めると12年間、心と身体を通わせた。
元嫁も俺を深く愛し続けてくれた。
あんなに想い合い、、深い愛で繋がった女は他にいない。
10年過ぎた今は、やっといい思い出にできているけれど、今でも会いたいと思ってしまう。
リストラされたあのときより、グッと飛躍した俺を見て安心して欲しいと思っている。
でも、今更やり直したいとか、恋をしたいとかは思わない。
俺は、もう歳を取りすぎたと思う。
ひとりで居るのも悪くない。
時間と金はたっぷりある。
今は、別れたときに遠く離れた場所よりも、元嫁たちが住む街に比較的近い場所にいる。
だから、再会することがあるかもしれない。
でも、俺から会いに行くことはしない。
もし、偶然元嫁と再会できたら、その時は元嫁が好きだった寿司を、それも回っていないやつをご馳走したい。
そして、再婚して幸せだという報告が聞きたい。
俺は、そのときを楽しみにして生きている…