元嫁と結婚したのは、もう30年近く昔のことだ。
2年後に娘が生まれ、元嫁は一生懸命育ててたけど、娘が3歳の時、力尽きた。
おっとり田舎育ちの元嫁は、東京での子育てにおかしくなってしまった。
育児ノイローゼの一つで、田舎に戻って暮らした方がいいと言われた。
両家話し合いの結果、別れることとなった。
元嫁はひとり、東京を離れて東北の地方都市へ帰っていった。
俺も、5年暮らしたアパートを出て、実家に戻り、義姉と母に娘を託して働いた。
元嫁はいい身体してた。
まろやかな腰つき、抱き心地も柔らかく、吸い付くようだった。
グジュッとしたマンコもねばりつくような感触で、腰が蕩けそうだった。
結婚したのが俺が20代半ば、元嫁は20代前半だったから、若すぎたのかもしれない。
毎晩何度も励んだ若夫婦は、休日は一日中やりっぱなしだった。
部屋中が淫臭にまみれた。
シーツは体液にまみれ、カビの生えそうなセックスだった。
思い出すのは元嫁の身体だった。
俺は30代前半で子連れ見合いさせられ、33歳の時、見合い相手の子無しバツイチ28歳の今嫁と再婚した。
何せ、娘がえらく懐いて、見合いから半年での再婚だった。
会うのはいつも娘と3人だったから、男女の関係になったのは再婚してからだった。
今嫁の離婚原因は表向きはDVだったが、実は元夫のSM好きが高じて、変体マゾ調教をされ、それが両親にばれて別れさせられたのだ。
少しずつ時間をかけて上手に調教されたから、今嫁は、気づいたら緊縛されて、アナルにバイブ、マンコにチンポで悶えていたそうだ。
今嫁は、大人しくて従順、なるほど苛めたくなるのも分かった。
再婚して初めて生理が来た時、四つん這いになって、
「こっちの穴、お使いになってください。」
とアナルを差し出し、ちょっと生入れは憚られたのでコンドームを被せて、生まれて初めてアナルセックスを経験した。
娘が7歳の時に妹が生まれたが、その時もアナルセックスで、禁欲性初はなかった。
産院のベッドでケツ出した今嫁にバックからアナルハメしたときは、スリル満点だったっけな。
俺が再婚して、第二子を授かったことが、俺の実家から元嫁の実家に伝わっていた。
産院から今嫁が戻る少し前、元嫁の訃報が届いた。
元嫁は、娘がもう少し大きくんったら、東京に戻ってくるつもりだったと、遺書に書いてあったそうだ。
俺は、それを聞いて愕然とした。
一人で数年頑張って、元嫁を迎えに行く、そういう選択肢を考えなかった自分を責めた。
元義父から電話があり、元嫁が勝手に考えてたことだから、気にせず幸せをはぐくんで欲しいと言われた。
今年、再婚して22年、俺は55歳、今嫁は50歳になった。
お恥ずかしい話だが、この年になってまだ夫婦でセックスを楽しんでいる。
今嫁はまだ生理があるから、アナルセックスも健在だ。
上の娘は26歳、今年嫁いだ。
俺はひとり、午後から休暇を取って、東北の地方都市へ向かった。
新幹線を降り、生花と線香を買い、単線のローカル私鉄に乗って7駅、30年近く前に、元嫁の実家の墓参りに来た記憶を蘇らせた。
駅前を少し歩くと公園があって、娘が小さいとき、元嫁に実家に帰省した時、遊ばせた記憶が蘇ってきた。
もう少し歩くと角にコンビニがあって、道路を渡って数十メートル先の右手に、墓があった。
墓誌を見ると、元嫁が眠っているのが分かった。
義父母もだいぶ前に亡くなってた。
線香を手向け、生花を飾った。
「ご無沙汰…ずいぶん早く逝っちまったもんだな…」
まずは手を合わせた。
「俺たちの娘、嫁に行ったよ。あそこの公園で走り回ってたあの娘が、嫁いだんだ。ほら、花嫁姿だ…」
スマホに娘の花嫁姿を映して、墓前に見せた。
「じゃあな。今日でお前に会うのは最後、もう、来ないよ。俺には、新しい家族がある。わかってくれや…」
墓に背を向け歩き出した時、
「あなた…さよなら…」
と聞こえたような気がして振り返ったが、そこには誰もいなかった。
ただ、線香の煙が漂っていただけだった。
俺は、元嫁の墓に手を振って、帰ってきた。
滞在時間わずか1時間半で、再び新幹線に乗った。
東京駅に、午後5時半には着いたから、今嫁には会社帰りの体で帰った。
30年近く過ぎてたけど、元嫁の故郷はあまり変わってなかった。
元嫁の実家を訪ねることはしなかったけれど、あの界隈が懐かしかった。
もう、二度と見ることのない風景を脳裏に刻んできた。
いつか、一度だけでも元嫁の墓に行こうと思ってたが、娘の結婚で叶った。
ここに、元嫁の冥福を祈り、投下…