先日、親父の七回忌で4年ぶりに帰郷した。
4年前の三回忌の時には、逃げるように東京に戻ったが、今回は、5年前に別れた元妻が住む昔住んでいた家に向かった。
別れた元妻と息子たちの様子がどうしても気になった。
6年前に親父が亡くなった時、お世話になった葬儀会社の陽子という担当者に惚れて、一周忌の打合せの時に口説いて、陽子と関係してしまった。
陽子は檀蜜に似た憂いを感じる色っぽい女性で、その身体も妖艶だった。
その艶かしい肌をしっとりと濡らし、濃厚な女の淫臭で俺を惑わした。
「私、東京にいた時、男に騙されて借金作って脅迫されるようにAVに出されて、それが親にバレて勘当されたの。それで地方に逃げ出したってわけ・・・」
拡げた股間には、30歳の熟した肉裂がクパァと割れ、程よく色付いたビラ肉が男の淫気を奮い起たせた。
むしゃぶりつくようなクンニに濡らし、吸い付くようなフェラに狂わされ、一心不乱に交わった。
噎せ返るような色香を漂わせるのは、元AV女優だからなのか、それにしても男を虜にする淫乱の舞を披露されては、俺はイチコロだった。
当時、俺37歳、陽子は30歳で元妻より4歳若かったが色気は陽子の方が上だった。
一周忌が終わって1か月過ぎた頃、元妻から離婚を言い渡された。
「あなた・・・陽子さん、一周忌でお世話になった色っぽい美人さん、あなたもお世話になってたのね。陽子さんから、あなたと別れて欲しいって言われました。」
目の前が真っ暗になった。
ポロポロ涙を流す元妻、そして、それは嗚咽に変わった。
元妻と暮らした平凡だが幸せな10年間が、走馬灯のように頭を駆け巡った。
俺は、慰謝料代わりに親父から相続した土地と自宅を、そして養育費代わりに夫婦で築いた財産を元妻に譲渡し、自分名義の預貯金だけ持って、仕事を辞めて陽子に促されるまま東京へ出た。
東京と言っても、JRと西武線が交差する郊外で畑も目立ち、すぐ隣は埼玉県でという立地だ。
その東京の家では、還暦を迎えた陽子の母親が一人で暮らしていた。
「都落ちした女が、他所様の旦那を略奪してご帰還かい。アンタも、とんでもない女に引っかかったもんだね。」
実の娘を蔑んだ目で見た。
俺達は、近くのスーパーで働く陽子の母親に保証人になってもらって、西武線沿線にアパートを借りて住み始めた。
「ごめんね。辛い思いさせたって。でも、一度あなたに抱かれたら、もう、離れられなくて・・・相性、良すぎるみたい・・・」
俺は前職を活かしロードメンテナンスの会社に、陽子はホームセンターに就職した。
夜になれば、陽子は肉の華を咲き散らし、俺の肉棒で悦楽の淫水を滴らしていた。
俺38歳、陽子32歳で第一子が生まれると、陽子の母親が孫可愛さに同居を許され、アパートを引き払った。
先日帰郷し、親父の七回忌に出た後、5年前まで住んでいた家を遠くから眺めていた。
とても懐かしくて、目頭が熱くなった。
駐車場にはトヨタの白いノアがあり、そのノアの運転席に一人の男が乗り込んだ。
俺よりもずっと年上に見えたその男がエンジンをかけると、家の中から成長した息子2人と、上の中2の息子よりお姉さんに見える女の子と元妻が出てきて、ノアに乗り込んだ。
再婚したんだ・・・あの女の子は新しい夫の連れ子だろう・・・幸せそうな5人家族が乗ったノアが俺の方へ走ってきたから、慌てて路地に逃げた。
一瞬、助手席に座った元妻の横顔が見えた。
39歳の幸せそうなお母さんの顔だった。
俺は、走り去るノアを眺めながら、黙って駅に向かった。
もう、この家に来る必要はないことを確認したことが、嬉しくもあり、寂しくもあった。
元妻に息子たちを託して、俺は郷里を後にした。
その夜、久しぶりに帰郷した俺の気持ちを悟って、陽子は俺をそっとしておいてくれた。
風呂場で髪を洗っている時、目を閉じて元妻の幸せを祈った瞬間、涙がとめどなく溢れた。
バカなオヤジが泣いていると、自分でも情けなくなった。