私53才会社員、妻富貴子54才、結婚して29年、二人の息子はすでに結婚し、長男には子供も産まれ、爺と婆になる私達です。
きっかけは次男の結婚でした。
次男の結婚が決まり、これから私達はどう生活していくか、話しをしました。
私は職場で今までの仕事プラス、関連子会社の仕事もプラスされ、多忙の中にも充実感があり、趣味のゴルフも仲間とたくさんしたい希望がありました。
妻も仕事をしていて、子供達が学校に通っていたときのママさん友達や、学生時代の友達との旅行など、趣味がありました。
話し合った結果、仕事、趣味を充実させるために、お互い干渉されたくないよね、との話しにたどり着き、別居しようかとなりました。
自宅には妻が残り、私は職場と子会社、どちらにも出勤しやすく、さらに好きなゴルフの練習場が近い部屋を借りることにしました。
自宅からも車で20分ちょっとほどです。
仲が悪くなっての別居じゃないので、私はいつ自宅に帰ってもいいようになってますし、妻が部屋に来ても、寝泊まりくらいはできるようにしてます。
だから私は月に数回自宅に帰りますし、妻も様子見で部屋に月数回来ます。
変わったのはまず会話でした。
今まで毎日顔突き合わせていたのが、月数回となると、ゴルフでの出来事や仕事での出来事、妻も仕事や友人との旅行や食事会とかの出来事で、会話が弾みました。
それまではうざったいと思っていた会話が楽しいと感じたのです。
別居開始して数ヶ月、妻に、上に書いた感想を言うと、妻もそう思っていたと言いました。
そしてある日、妻が私の部屋に泊まったとき言いました。
「新婚時代の部屋に似てきたなって思う、この部屋」
新居借りる金がなく、新婚時代は私のアパートで二人で暮らしたんです。
妻に言われて、あぁそうかもと思いました。
必要最低限の物しかなく、布団を二組並べて寝ていた、あのときと同じだなと。
増えたのはゴルフ道具くらいです。
「そうだな」
そう答えました。
あのとき、どんな疲れて帰ってきても、必ず妻と一戦交えてたな、なんて思い出しました。
それがどうだ、ここ10年くらい、年に何回ある?妻がこうやって何回か部屋に来ても、話しして寝るだけ。
自宅でもそう。
二人だけ、あの当時に戻ったような気になりました。
そして私は妻の布団へと入って行きました。