観光会社のバス旅行企画に参加をした熟年夫婦です。
ほぼ満席に近い状況で出発、ガイドさんの軽妙な話に私達夫婦はバスの中でも退屈する事もなく目的地に‥バスの通路を挟み同年代の、ご夫婦とも仲良くなり旅行は愉しいものと成った。
観光も食事も、そのご夫婦と一緒に、ホテルでの夕飯後も近くを散策に出掛けた。
敷地内の散策路には街路燈が灯り良い雰囲気であった。
芝生の庭の中に休憩所があり私達は、そこで涼しい夜風にあたりながら休憩を取る。
お世辞も交え、お互いの仲の良さを誉めあう内に、互いの妻の方から冗談とも付かない私達、亭主の愚痴話になって行く。
それが次第に熱を帯びセックスの話題へと変わって行ってしまう。
私は、慌てて話を逸らそうとしたが、妻は貴方が、ご主人みたいな人だったら‥等と冗談とも本音とも取れるような言い方をして来る。
相手の奥さんも、それならばと、私の事を誉めて来る。
知り合った時から、あまり多くを喋らない、ご主人は苦笑いを浮かべていた。
突然に妻が
「こんな素敵な場所を散歩するのは貴方とより、ご主人の方がロマンチックで良いわ‥」
と言い出す。
相手の奥さんも
「私も同感、ねぇ、ご主人、一緒に散歩しましょうよ」
と笑いながら言い出す。
私の腕を引っ張りながら、奥さんは
「ねぇ、貴方、良いでしょう?貴方は奥様と二人で」
と積極的に引っ張る腕を組もうとして来る。
「貴方、行ってらっしゃいよ私は、ご主人と」
妻は、ご主人に凭れるように肩を預ける。
半ば強引に奥さんに引っ張られ私は再び散歩路に出た。
「迷惑でしたか?」
歩き始め、奥さんが聞いて来る。
「いゃいゃ、迷惑だなんて、妻の前では言い難いですけど、光栄です」
「本当に、そう思って頂けるのなら嬉しいです」
「本当ですょ」
「嬉しい」
歩きながら奥さんは、身体が触れ合うくらいに寄り添って来た。
私は緊張した面持ちで触れ合う手に軽く手を触れてみる。
奥さんも、そんな私の手に掌を合わせ握って来た、いつしか強く握り合い、会話も少なくなる中で私は握り合った手を愛撫するように指先を蠢かした。
「ねぇ、こっちに行くと何処に行くのかしら?」
上気した面持ちで奥さんが言う。
明らかに、散歩コースを外れる道だった。
私達は後方に人の気配が無い事を確認すると、そこに踏み込んだ。