離れ家の布団の上で一人、身体を横たえ呼吸を整えている妻。
やがて、虚ろな視線を私に向け何か話そうとする、私は妻からの言葉を押し留めるように、少年がいる浴室に行くように小声で言う。
私に遠慮が有るのか、妻は軽く顔を横に振る仕草。
何度か私が浴室に行く事を勧めると、妻め諦めたかのように
「お風呂場だと、貴方は側に居れなくなるけど良いのね?」
呟くように言う。
「構わないよ私は十二分に、お前の姿を堪能したから、後は夜にでも」
と答える。
妻は気だるそうに身体を起こし立ち上がる、少年の若々しい律動に妻は多少よろける様な仕草で、ゆっくりと部屋を出て行った。
私も、その場を離れ家の中に入る、少年には気づかれない様に浴室付近の様子を探り家に入り、脱衣場の入り口に立つ。
脱衣場も浴室の戸も少し開けられていた、それは多分、私が来ると思い妻が意識的に開けておいたのだろう。
シャワーの弾く音に混じり微かに妻の声が混じる、聞き耳を立てているとシャワーの音が止まり濡れた身体が、ぶつかり合う音、キスを交わしているのだろう音、少し後には妻が小さく喘ぐ声が。
少年が浴室で妻を再び求める声、それを押し留め部屋に戻ってから、と妻の声。
二人が浴室を出る気配に私は素早く、その場を離れ居間の隣の部屋に入る。
家の中には自分達以外に誰も居ないと思い込んでいる少年は、何の警戒心もなく台所を通り抜ける時に妻を立ち止まらせ妻の乳房に吸い付いて行く。
身を捩りながらも妻は身を任せ
「こんな所じゃ駄目よ向こうの部屋に行きましょう」
と諭すように言う。
少年は妻の身体に触れながら離れ家に向かう、私は襖から顔を覗かせ二人の後ろ姿を目で追った、廊下の突き当たりの離れ家に入ると妻は後ろ手で襖を閉め二人の姿が消える。
少年と妻が再び現れたのは、それから一時間程経ってからだった、妻の手には二人分の衣服が抱えられ、浴室に入る。
妻が少年を駅まで車で送り家に帰って来た、時計は5時を過ぎていた、私が出迎えると
妻は私にしがみ付くようにして来た。
「ごめんなさい‥ごめんなさい」
意味もなく妻は私の腕の中で言う。