夜、1本の電話が理由で現在の夫婦になり果てました。
その日は、私一人での晩酌をしいていました。嫁が友人数人と家での
食事会という事で不在だったからです。 電話を掛けて来た相手は、
嫁が務めている会社の同僚である奥様でした。 奥様からの電話は
この日が、初めての電話でした。花見やゴルフなどで交流は有りましたが
急な電話の相手に少し戸惑いました。 挨拶をしたのもつかの間。
話は電話をしてきた要件になりました。 初めに聞かれたことは、
「今、奥さんは在宅していますか?」私は唐突な問いに意味が分からなかった。
奥様の話を聞いている内に要件も理解できました。 奥様のご主人と私の嫁が
一緒に居るという連絡でした。ご主人は釣りに行くと言って出掛けた
との事でした。なぜ奥様はこんな状況を知っているのか?
聞けば、釣りに行くときは準備もするし前もって聞いているが、急に釣りに
行くと言って出掛けたらしい。女の感だと言いはしませんでしたが、気になって
後を追ったらしい。少し数分遅れて後を追ったので見つからないかもと
思ったらしいが、コンビニの駐車場に停まっているご主人の車を発見。
コンビニを出ると、ご主人の車は海のある方向へ車を走らせた。
奥様も本当に釣りに行くんだと思いすごしにホットしたとの事でしたが
所有している船を止めている場所に付いた後からでした。ご主人が止めた車に
女性が歩いて来たらしく改めて女性が降りて来た車を見たら見覚えの有る
車だった。 奥様も距離が有って遠目だったが間違いなく嫁だと言う。
奥様は、暫く様子を伺った後に現場から私に電話をしてきていた。
私にも直ぐにこれないかと頼んできた。残念な事ではないが、もう飲んでいたため
車の運転は出来ない事を伝えた。それならと、嫁に一度連絡を入れてみてと
頼まれた。私は承諾し嫁にラインをしました。ラインの内容は適当な
文面でした。「何時ごろに帰ってくる?」既読になり返事もありました。
その事を奥様に伝えました。しかし、核心のある奥様はラインでなく
電話をかけてみて下さいと頼んできました。私は承諾して電話を切ったものの
色々な事が頭の中を巡りました。奥様の連絡してきた事が事実としたら
何と電話をすればいいのか?嫁は電話に出るのか?……。
私は奥様に嘘をつきました。「電話にも出ましたよ。」それでも納得のいかない
奥様は、私を迎えに来ると言い出しました。奥様が迎えに来てから
車に乗り無言のまま現地に向かいました。ご主人の車も嫁の車もその場から
居なくなっていました。車を走らせ周辺を捜しましたが見つける事はできないまま
時間だけが過ぎていました。奥様の話では、夜は船を出したりしない。
そんな説明も聞かされました。探し疲れ公園の駐車場に停まりました。
改めて目撃した内容を聞かされました。その話をしている内に奥様も少し声が
振るえてきていました。「ご主人は何か気付いた事は無いですか?」
そんな事を言われましたが何も不審な事は何も思い当たりませんでした。
一瞬の出来事でした。奥様が私の腕にしがみ付き泣き出してしまいました。
「ご主人は平気なんですか?」平気では無かったが、あまりにも急な事も有り
冷静を装うしかなかったのが事実でした。