私は高校を卒業し、片田舎の街から就職先に出てきて8年が経っていました。
同僚と入った居酒屋で嫁となる彼女と再会しました。 彼女は、私の地元に有る
食堂の娘さんでした。 最後に見たのは、まだ彼女が小学6年ぐらいでした。
母子家庭で、お母さんが小さな食堂を切り盛りしていました。
食堂から家も近く、私の両親も共働きをしていたので、子供の頃から一人でも
ご飯を食べに行っていました。 彼女は歳の離れた妹的な感じでした。
初めて彼女と二人で出かけたのは、高校を卒業し車の免許を取った後でした。
たまたま、話の流れで遊びに連れて行く約束をした事からでした。
当然ですが、昔から知っている娘ですし小学生だった彼女には、その当時何も
異性としては感じる事無く、たしか動物園に行ったかな。
それが、最初で最後のお出かけでした。 そして、あれから8年ぶりに
こんな場所で再会するとは思ってもいませんでした。 向こうも直ぐに私だと
気付きました。 彼女も仕事中という事もあり携帯番号の交換はできました。
一緒に店に来ていた同僚からは、誰だ誰だと質問責めでした。
小学生だった頃の面影はありましたが、彼女も二十歳前でしたから
すっかり大人の女性になっていました。 同僚も気になるのは当然でしょう。
店を出て家に戻りました。 彼女も仕事が終わった頃でした。
約束した時間に電話がかかってきました。 久し振りの再開に積もる話をしました。
その時は、まだ聞かされていませんでしたが、後日食事に行く約束をして二人で
会った時に電話では話しきれ無かった事を色々と聞きました。
食堂のおばさん。 彼女のお母さんは、2年前に病気で亡くなったと聞かされました。
彼女が高校を卒業する前だったようでした。 お互いが大人になって話を聞けば
彼女の家庭環境は、遠方に母方のお兄さん(おじさん)が一人居るらしい。
しかし、葬儀の時に初めて顔を会わせた感じの記憶しかなかったらしい。
おじさんの家に行く話も出たが、彼女が職を見付けれなかったらという条件もあった
ようでした。 一旦は、地元で就職をしたが食堂兼住居であった家も賃貸だったので
家を出る事になった。 仕方なく、おじさんの家に行くことになったが、家を出て来た。
そんな苦労話を聞きました。 そして、そこにはまだ彼女が話していない事もありました。