(prologue)
2018年、日産のカルロス.ゴーン逮捕のニュースが世間を騒がせていた11月中旬、彼女と出会った。出会ったと言ってもその頃の私は、まだ彼女の顔を知らなかった。知っていたのは彼女のお尻が魅力的であるということ、そして彼女がパートナーを求めているということだっだ。二人の出会いのスタートがナンネであったからだ。
二人はパートナーを求めてナンネを彷徨い、そして偶然にも出会うことが出来た。しかし、今こうして思い返してみると、それは必然だったのかも知れないと、感じ始めている自分がいる....
私は都内勤務の会社員。既婚40代後半。会社員としての昼間の顔、家庭内の顔とは別に私にはもう1つの顔がある。
それは特殊な性癖をもつ男の顔だ。以前のパートナーとは事情により突然別れる事となってしまい、私はそれを機にもう1つの顔を隠して生きてきた。
彼女は30代専業主婦。ごく普通の日常を、真面目な妻として、そして優しい母として演じてるに違いない。しかし、メールをやり取りする中で、私は真面目な主婦としての彼女の中に、M女としての特徴のようなものを感じ始めていた。
正直、ナンネの出会いは運次第だ。出会える時は出会えるし、出会えない時は出会えない。メールを送っても返事が返ってくることは稀だし、返ってきたとしても趣向が合わなかったり、相性が合わなかったりして、実際に出会えるまでに至る確率はかなり低い。
ましてや、既婚で私の年齢程になるとその確率は、さらに厳しくなることは想像出来るはずだ。
そんな中、彼女と上手く会話が弾んだのは、二人の趣向が驚く程一致したことが大きかった気がする。お互いの趣向を包み隠さず話すことで、次第に二人の距離が縮まり、そして惹かれ合っていくような気がした。
二人の中で、お互い会いたいという気持ちを抱くまでに2週間弱の時間を要した。それは長くはないが、決して短い時間ではなかった。私自身は、早く会いたい気持ちが無かった訳ではないが、彼女とのメールのやり取りが、その時間を忘れさせる程、楽しく心地良いものだった。どちらからと言うこともなく、ごく自然にそろそろお会いしましょうと言うことになり、スケジュールを調整した。
お互い既婚のため平日に会うことにした。私は仕事柄、平日休みの事が多いので都合がよかった。二人のスケジュールを合わせ12/5に会うことにした。画像の交換はしていなかったので、お互いの容姿は想像するしかなかった。とても緊張すると言う彼女に、上野で一緒にランチでも食べようと誘った。私に緊張は無かった。楽しみという気持ちの方が勝っていたからだ。当日までは、まるで小学生の遠足の時ように待ち遠しくて仕方なかったのを、今でも覚えている。
2018年も残り僅かの12月、二人はついに出会う。期待と緊張が交じりあう中で、12/5の朝を迎えることとなった。
(episode 1)に続く