「ごめんなさい・・・好きな人ができたの・・・」
指輪を外しながら、結婚4年で告げられた元妻からの別れの言葉・・・
「いつからだ?」
「一年になる・・・初めて抱かれてからは半年・・・ごめんなさい、今日も抱かれてきました・・・」
ショックだった。
今しがた、知らない男に股を開き、知らない男の陰茎を膣内に受け入れ、おそらくは快感に喘いで乳房を揺らして男を悦ばせたであろう我が妻の女体が、目の前に存在していたのだ。
心から愛していた元妻だったが、元妻の幸せを祈って離婚した。
「あの子に・・・悪いお母さんだから追い出したって言って・・・サヨウナラ・・・」
俺31歳、元妻28歳、娘2歳だった。
元妻の愛した男は、37歳の証券マンだった。
慰謝料500万円+養育費の先払いだともう500万円の計1,000万円をポンと渡された。
離婚から1年、信号待ちをしていた俺の目の前を、大きなお腹の元妻と証券マンが手を繋いで横断していった。
その夜は寝付けなかった。
目を閉じると元妻と証券マンの姿が頭から離れなかっただけでなく、元妻のお腹が大きくなった経緯が頭を巡った。
元妻があの男の生チンポを手で握って、唇をづけ、口に咥え込んで亀頭を舌で舐め回し、あの男がウットリしている。
乳房を触れられ、揉みしだかれ、舌先で乳首を転がされて元妻がウットリしている。
ビラ肉を指で拡げられて、肉穴を覗かれながら肉豆を舌先で舐められて元妻が喘いでいる。
生の肉棒を肉穴の奥深くまで入れられ、激しく突かれ、愛液の音を響かせながら愛し合い、俺にさえ見せたことのない表情でヨガり声を上げてあの男にしがみつく元妻。
愛液が白く濁ってあの男の肉棒に絡まり、舌を絡めて唾液を交換し、かつては俺の精液で娘を身籠った子袋にあの男の精液が注がれていく。
幸せそうな顔で小袋に熱い精液を感じ、萎えて抜けたあの男の肉棒の後からダラダラと精液と愛液の混ざった体液が流れ出ている。
そして元妻の子袋には新しい命が宿った・・・
いつの間にか眠りに就いていて、切ない夜が明けると、なぜかスッキリした気分だった。
元妻がいなくなって広々とした寝室に、朝の光が差し込んでいた。
「いつまでもクヨクヨしてても仕方がない。アイツはもう他所の男のものだ・・・」
心機一転したその日、上司から見合い話が舞い込んで、その1年後、俺は33歳でその見合い相手の27歳のバツイチ女性と再婚して、娘には妹ができた。
その娘も23歳、立派な社会人になり、妹も高校3年生だ。
元妻のことなどすっかり忘れて、再婚した妻と今でもエッチ三昧で暮らしていた。
先日、見知らぬ若い男が俺を訪ねてきた。
そして、箱に入った柘植の櫛を俺に差し出し、
「母が・・・その、娘さんの母親が亡くなりまして、これ、形見です。」
つまり、元妻が亡くなったので、娘に母親の形見を持って参上したというのだ。
「私が生まれた年、父の会社が自主廃業してしまいました。マンションを売り払い、小さなアパートで暮らし始めましたが、私が幼稚園に入る直前、父が母と私を捨てて家を出てしまい・・・その後は母の実家に身を寄せて細々と暮らしてきました。母は私を大学に上げようと必死で働きましたが、身体を壊して亡くなってしまいました。今は、アルバイトしながら、祖父母に面倒を見てもらいながら大学へ通っています。では・・・」
手元に残った柘植の櫛を見ながら、ふと、元妻を最後に見たのはいつだっけ・・・と思い出していたら、大きなお腹をした元妻とあの男の仲睦まじい20年前の姿が蘇ったのだ。
アイツ・・・俺を頼ろうとしなかったのか・・・
それとも頼ろうとしたものの、俺が再婚していた事を知って諦めたのか・・・
いろいろ想像したが、20年前のエピソードを書き綴り、元妻の冥福を祈ることとする。